家賃滞納のイメージ

はじめに

「家賃滞納による損失や取り立ての手間を回避したい」とお考えのオーナーの方は、家賃保証会社を利用されてはいかがでしょうか。その名の通り入居者の家賃を保証してくれるサービスで、安定した賃貸経営を目指すうえで非常に有益な存在です。

今回は家賃滞納の主な原因や防止策について触れながら、家賃保証会社の基礎知識や利用するメリットを詳しく解説します。また、家賃滞納発生時の流れをご紹介しつつ、オーナーが家賃滞納への対応を行う際に注意したいポイントもまとめました。

入居者の家賃滞納にお困りの方や、家賃滞納の予防策について調べている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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家賃滞納の現状

家賃滞納の統計データ

賃貸マンション経営において最も注意したい問題のひとつが、借主による家賃滞納です。家賃はオーナーの収益源であり、滞納が生じると必然的に収入が不安定になるほか、場合によっては経営難に陥る恐れもあります。

まずは家賃滞納の現状を探るべく、実際にどのくらいの割合で家賃滞納が発生しているのかに注目してみましょう。日本賃貸住宅管理協会が2023年10月に公表した「賃貸住宅市場景況感調査 日管協短観2022年度(2022年4月~2023年3月)」によると、2022年度における月末での1か月滞納率は全国で0.8%、首都圏で0.4%でした。この結果から、全国の平均としては約125戸に1戸の割合で1か月の家賃滞納が発生していることがうかがえます。

また、日本賃貸住宅管理協会によると、家賃保証会社の利用増加に伴って家賃滞納率が低下傾向にあるようです。ただし、関西エリアなど全国平均値よりも高い割合で家賃滞納が発生している地域もあるため、万が一の事態を想定してあらかじめ対策しておく必要があるでしょう。

参考:日本賃貸住宅管理協会「第27回 日管協短観」

家賃滞納の主な原因

ではなぜ家賃滞納が発生してしまうのか、代表的な原因について押さえておきましょう。

振り込み忘れなどの不注意

最も一般的な家賃滞納原因として、入居者の不注意が挙げられます。支払い期日までに振り込み手続きを失念していたり、口座振替日に残高が不足していたりといった「うっかりミス」による滞納です。

こうした不注意によって発生する家賃滞納は、支払い方法を銀行口座やクレジットカードでの自動引き落としにすることである程度抑止できます。また、引き落とし日が近づいたタイミングで、建物内の掲示板やメールなどでリマインドする対策も有効です。

急病・ケガなどによる長期不在

本人または家族が急病やケガによって入院しているなど、家賃を準備できていても振り込めない状況にあることが原因で家賃が支払われない場合があります。状況によっては、入居者本人と連絡が取れないこともあるでしょう。

家賃の支払いを銀行口座やクレジットカードでの自動引き落としにしておけば、そういった事態であっても普段通り家賃を回収できるかもしれません。また、親族の連絡先を事前に確認しておくことで、入居者の代わりに家賃を支払ってくれたり、状況によっては賃貸借契約の解除について相談できたりと対応がスムーズに進む可能性があります。

生活が困窮してお金がない

「入居後に働けなくなってしまった」など、経済的に困窮状態で家賃を支払えない入居者の場合もあります。入居時には問題なく支払える状況であったとしても、退職や以前よりも給料が低い仕事への転職、事業の経営悪化などによって支払いが難しくなるケースです。

まずは入居者の経済状況をよく確認し、今後の見込みについてしっかりと確認することが大切です。そのうえで必要に応じて引越しを促したり、公的な支援制度の利用を勧めたりと、滞納が長期化する前に何らかの手を打つことをおすすめします。

そもそも支払う気がない

家賃滞納においてもっとも厄介といえるのが、入居者に支払う意思がないまま滞納を続けている場合です。支払える状況にありながらも故意に支払いを拒んでいるケースがこれに該当し、「いずれ支払えば問題ないだろう」と自分勝手な言い分で滞納していたり、「追い出されそうになったら考えよう」などと開き直っていたりと、さまざまなパターンがあります。

このように支払う気がない場合は改善される可能性が低いと予想されるため、早急に法的手続きを検討することが得策です。

家賃滞納の防止策

家賃滞納によってオーナーが損失を被ることを未然に防ぐため、あらかじめ対策を行うことは大変重要です。ここでは、特に効果的とされる4つの防止策をご紹介します。

入居者審査をしっかりと行う

家賃滞納を防止するためには、入居者審査をしっかりと行う必要があります。契約時に年収や勤続年数、可能であれば貯金額を確認するとともに、過去に家賃滞納歴がないかを確認し、初期費用や毎月の家賃を問題なく支払える経済力や信頼性があるかどうかを判断しましょう。

また、管理会社に入居者審査を業務委託している場合は、その会社がどのような審査を行っているのかきちんと把握しておくことが大切です。もし管理会社の審査基準が甘く、支払い能力を重視せずに入居者の審査を行っている場合は、別の管理会社への変更も視野に入れるとよいでしょう。

契約時に連帯保証人を立ててもらう

入居者が家賃を支払えなくなる可能性を考慮し、契約時に連帯保証人を立ててもらうことも非常に有効な防止策です。連帯保証人は入居者と同等の責任を負う人のことで、入居者が家賃を支払うことができなくなった場合は連帯保証人に家賃を請求できることから、家賃の未回収リスクを軽減できます。

なお、連帯保証人は「安定した収入があり、連絡がつきやすい人」に設定することが重要です。入居者と血縁関係のない人の場合はいざというときに対応してもらえない可能性も否定できないため、入居者の家族や親族といった近しい身内に指定することをおすすめします。

家賃の支払い方法を自動引き落としにする

家賃の支払い方法が銀行振込や集金の場合は、入居者のうっかりミスによる滞納を招きやすい傾向があります。口座振替やクレジットカード払いなど、自動で引き落としされる方法に設定するとよいでしょう。

ちなみに、口座振替の場合は残高が不足していると自動引き落としが行われないため、クレジットカード払いのほうがより安心です。

家賃保証会社を利用する

家賃保証会社を利用することも、家賃滞納によってオーナーの収入が減るリスクを回避するために有効な方法です。さまざまな事情によって連帯保証人をつけることが難しい入居者の場合も、家賃保証会社へ加入してもらっていればスムーズに家賃を回収できることから、近年は家賃保証会社の利用を必須にしている物件も少なくありません。

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家賃保証会社とは

家賃保証のイメージ

前述のように、家賃保証会社を利用することはオーナーにとって大きなメリットがあり、実際に家賃保証会社を利用しながら賃貸経営を行っているケースは多くみられます。ここでは、家賃保証会社の仕組みや具体的な保証内容、利用方法について詳しくまとめました。

家賃保証会社の仕組み

家賃保証会社とは、入居者が家賃を支払えなくなった際に、入居者の代わりにオーナーへ立替払いを行う会社のことです。保証会社によっては、家賃だけでなく更新料や原状回復費用、各種違約金など幅広い費用に対応している場合もあります。

家賃保証会社と契約を結ぶのは入居者本人であり、入居者が保証料を支払うことから、オーナーが支払うべき費用は基本的にありません。つまり、オーナーはコストを負担することなく家賃滞納リスクの軽減を図れます。

ちなみに、入居者が家賃保証会社に支払う費用の目安は年間で「家賃0.5~1か月分」程度です。契約後1~2年で更新となるケースが多く、更新時には1~2万円ほどの更新料が別途発生します。

家賃保証会社の保証内容とは

家賃保証会社や利用するプランによっても違いがみられますが、家賃保証会社が保証範囲としている主な項目は以下のとおりです。

・滞納された家賃や管理費、共益費、駐車場料金、更新時の更新料など
家賃や管理費、共益費、駐車場料金、更新時の更新料などの費用は、家賃保証会社における代表的な保証項目です。入居者が支払うべき費用を肩代わりするのではなく、一時的に立て替えるものであり、各種費用の保証期間については家賃保証会社によって異なります。

・原状回復費用
入居者の退去時に発生する原状回復費用も、多くの家賃保証会社が対象としている保証項目のひとつです。原状回復をめぐる費用を誰が負担するのかは、オーナーと入居者の間で揉める傾向があるため、この費用が保証対象となっているとより安心感があるでしょう。

・残置物処理費用
残置物処理費用とは、強制執行時に執行官へ支払う手数料や荷物の運び出し費用、運び出された荷物の処理費用などのことで、これらを保証の対象としている家賃保証会社も少なくありません。何らかの事情でオーナーが入居者に対して物件の明け渡しを求め、訴訟で勝訴したにも関わらず期限までに立ち退かない場合、裁判所へ申請手続きを行ったうえで執行官による強制執行が実施されます。また、入居者が所有物を残したまま退去して連絡が取れなくなってしまったり、入居者が突然行方不明となって私物が残されてしまったりすることもあり、このような場合でオーナーが残置物を処理する際に発生する費用も残置物処理費用です。

・早期解約違約金や解約予告違約金
入居者が契約期間の満了となる前に退去を希望したり、解約予告の時期を過ぎてから解約の申し出を行ったりするとオーナーは予定していた収入を得られなくなることから、賃貸借契約において早期解約違約金や解約予告違約金を定めているケースも多いでしょう。家賃保証会社によっては、入居者がそういった違約金の支払いを行わずに退去してしまった場合に保証してくれるところも存在します。

・訴訟費用
家賃保証会社によっては、オーナーと入居者間でトラブルになった際の訴訟費用を保証の対象としているところもあります。その場合は弁護士の手配をサポートしてもらえるほか、弁護士に支払う費用や法的手続きにかかる費用等が保証されます。

家賃保証会社を利用するには審査が必要

家賃保証会社の利用にあたっては、入居者に関する各種書類を提示して審査を受ける必要があります。必要書類は家賃保証会社によって異なりますが、主なものは以下のとおりです。

  • 保証会社への申込書
  • 身分証明書のコピー(運転免許証・健康保険証・パスポート・住民基本台帳カード(現マイナンバーカード)のいずれか)
  • 収入証明書(給与明細書・源泉徴収票・失業保険受給資格者証・年金支払通知書・確定申告書など)
  • 住民票
  • 預貯金通帳のコピー
  • 連帯保証人の身分証明書
  • 連帯保証人の収入証明書

また、上記の書類をもとに次のような項目に注目して審査が行われます。

  • 職種や雇用形態(会社員・正社員など)
  • 勤続年数
  • 年齢
  • 収入
  • 収入と家賃のバランス(年間家賃は年収の1/3以内が目安)
  • 過去の滞納歴

特に滞納歴は厳しくチェックされる傾向があります。なお、審査は3~7日程度で完了することが多いですが、書類に不備があったり、入居者が本人確認のための電話になかなか出なかったりするとより多くの日数がかかってしまうため注意が必要です。

家賃保証会社を利用することによるオーナーのメリット

オーナーのメリット

続いて、オーナーが家賃保証会社を利用することによって得られる主なメリットをご紹介します。

家賃滞納リスクを抑制できる

家賃保証会社を利用する最大のメリットといえるのが、家賃滞納リスクを回避できることです。家賃滞納が発生すると保証会社が家賃を立て替えてくれるため、収入を確保できなくなる不安から解放されます。

また、自主管理の場合は滞納家賃の回収作業も大きな負担となりますが、家賃保証会社を利用すればその手間を省けることも大きな魅力です。

入居者審査の手間がなくなる

入居者審査も家賃保証会社の基本業務となっており、オーナー自身で審査を行う必要がないこともメリットのひとつです。経験豊富な保証会社に一任できることから審査の精度が高くなり、自力で審査を行うよりも効率的かつ安定的に信頼性の高い入居者を確保できるでしょう。

連帯保証人が立てられない人とも契約できる

家賃保証会社を利用すれば、連帯保証人になってくれる人がいない入居者、あるいは親戚が遠方に住んでいるなどの事情で契約締結時に連帯保証人を立てられる人がいない入居者とも安心して契約手続きを進めることが可能です。これによって募集条件を広げられ、入居率アップを期待できます。

家賃滞納が発生した際の流れ

家賃滞納発生後の流れ

ここでは、実際に家賃滞納が発生した場合にオーナーや家賃保証会社が取るべき対応について押さえておきましょう。

家賃未払いの入居者に督促をする

家賃滞納が発生したら、まずはオーナーや管理会社といった家賃管理を行っている人が電話や書面で入居者に連絡し、支払いの督促を行います。

家賃保証会社に代位弁済を申請する

入居者へ督促を行っても入金がない場合、オーナーまたは管理会社は定められた期限までに家賃保証会社に対して代位弁済(立替払い)の申請を行います。

家賃保証会社が家賃を立替払いする

家賃保証会社の代位弁済が行われると、オーナーは家賃を受け取ることができます。このとき、入居者は家賃を支払う必要がなくなったわけではなく、債権者が家賃保証会社に移った形です。

なお、たとえ家賃保証会社による立替払いが実行されたとしても、オーナーや管理会社は入居者に対する家賃の督促を続ける必要があります。もし長期間にわたって滞納が続く場合や支払う意思がないことが明確な場合などは、法的措置に踏み切ることを検討しなければなりません。

オーナーが家賃滞納への対応時に注意が必要なポイント

対応時の注意点

オーナー自身が家賃滞納に対応する際は、以下の2点に注意して督促を行うことがポイントです。

家賃の滞納には時効がある

滞納された家賃は何もせず5年を過ぎると時効が成立し、消滅してしまいます。確実に家賃を回収するためには、放置せず迅速に対応することが大切です。

強引な督促をしてはいけない

滞納家賃の督促方法に関しては、借地借家法によって「強引な督促をしてはならない」といったルールが定められています。たとえば入居者の勤務先への連絡やドアに督促状を貼りつけるなど、第三者に督促の事実を明らかにする行為や、深夜や早朝の督促、支払い義務のない親族への取り立て、ドアのカギを無断で交換して使用できなくするなど、相手に恐怖を与えるような強引な督促は違法行為とみなされる可能性があるため注意が必要です。

オーナーの負担を抑えて家賃滞納リスクに備えるなら

リスクへの備え

前述したように、家賃滞納への対応には手間がかかり、逆に入居者から訴えられるリスクも伴います。そのため、自力で対応することに不安を感じるオーナーは家賃滞納に強い管理会社への業務委託を検討するとよいでしょう。

LIXILリアルティの賃貸管理サービスは家賃滞納への対応が強みのひとつで、提携保証会社との連携によって長期滞納者の発生を効果的に抑制しております。また、万が一家賃滞納が起こってしまった場合は保証会社の代位弁済によって滞りなく家賃を受け取れるほか、保証会社がついていない入居者様には弊社の家賃回収担当者がスピーディーかつスムーズに督促を行います。

家賃滞納以外の面でもたくさんの強みがあり、LIXILのグループ会社としてのノウハウに基づいた独自の賃貸管理システムによる迅速・丁寧なサポートが大変好評です。さらに、賃貸経営に関わるお悩みごとにプロの観点から提案、施策を行っていることもポイントで、実際に利用されているオーナー様からは「トラブルが生じた際にしっかりと対応してもらえて安心」「効果的なアドバイスのおかげで満室経営を継続できている」といった満足のお声をたくさんいただいております。

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まとめ

入居者の家賃滞納はオーナーにとって大きなリスクであることから、家賃保証会社の利用も含め、できる限りの防止策を講じることが大切です。家賃保証会社を利用すれば、家賃収入を滞りなく受け取れることはもちろん、入居者審査を行う手間を省ける、連帯保証人を立てられない人とも安心して契約できるなどのメリットもあります。

また、万が一家賃滞納が発生した場合は速やかに督促などの対応を行う必要がありますが、対処の仕方によっては大きなトラブルへと発展する可能性がある点に注意が必要です。家賃滞納に強い管理会社とタッグを組むことで、自力で対応するよりもスムーズに円満な解決を目指せるでしょう。

ぜひ良きパートナーとなってくれる家賃保証会社や管理会社を探し、安定した賃貸経営を実現させましょう。

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