賃貸マンションの管理会社を変更する方法とトラブルを避ける注意点

はじめに

現在マンションの管理を委託しているものの、「管理費用が高すぎる」「担当者の対応が悪い」といった理由で管理会社の変更を検討しているオーナーもいるのではないでしょうか。実際にほかの会社への変更によって不満が解消され、賃貸経営がしやすくなったケースは多数存在します。

しかし、管理会社の変更には手間も時間もかかるほか、「家賃が前の管理会社に振り込まれてしまった」「引き継ぎがきちんとされておらず、入居者からクレームが入った」などのトラブルが生じるリスクがある点にも注意が必要です。まずは管理会社を変更する意義や手順をしっかりと押さえたうえで、ご自身にとって最良の選択かどうかを慎重に見極めることをおすすめします。

そこで、今回は管理会社の変更を検討するべき状況や変更するメリット・デメリットに触れながら、具体的な手順や発生しやすいトラブルに対する予防策、注意点などを詳しくまとめました。管理会社の変更を検討している賃貸マンションオーナーの方は、ぜひ参考にしてみてください。

LIXILリアルティの賃貸管理サービスでは、賃貸経営のエキスパートがオーナー様のパートナーとして運用をお手伝いします。賃貸物件の管理についてお困りの方や、管理会社の変更をお考えのオーナー様は、ぜひ一度ご相談ください。

オーナーの都合で賃貸物件の管理会社を変更できるのか

オーナーの都合で賃貸物件の管理会社を変更できるのか

そもそもオーナーの都合で管理会社を変更できるの?と気になっている方に向けて、まずは賃貸マンションにおける管理会社の役割や変更可否について解説します。

管理会社の役割

管理会社の役割は、マンションの維持管理を専門的に行うことです。管理員の派遣や清掃業務、各種設備の安全点検、将来に向けた大規模修繕の立案など、マンションの共用部分に関する管理を全面的に請け負います。

また、オーナー自身では対応が難しい問題に対して適切な対処法を提案するなど、トラブル解決へのサポートを行う役割も担っています。

つまり、賃貸マンションオーナーにとって管理会社はなくてはならない重要な存在です。ぜひ良好な関係を保って賃貸経営を円滑に行いたいものですが、なかには管理会社や担当者の対応に不満を感じたり、コミュニケーションのとりづらさに悩んだりしているオーナーも少なくありません。

オーナーの都合で管理会社は変更できる

管理会社は、物件オーナー自身の都合によって比較的自由に変更できます。管理委託契約上に中途解約や違約金に関する条項がある場合はその内容に従う必要がありますが、特に記載がない場合はオーナーの意向によっていつでも解約し、新しい管理会社と契約を結ぶことが可能です。

ただし、管理会社を頻繁に変更すると入居者の不安につながる可能性があるため、本当に変更すべきかどうかを慎重に見極める必要があります。まずは現在委託している管理会社とコミュニケーションをとり、変更以外の対処法がないかをしっかりと検討したうえで決断することが大切です。

管理会社の変更を検討するべき5つの状況

管理会社の変更を検討するべき5つの状況

賃貸マンションのオーナーが管理会社の変更を検討する状況としては、一般的に下記の5つのケースが挙げられます。

  • 管理費用が高い
  • 担当者や管理状況に不満がある
  • 管理会社の経営状況が良くない
  • オーナーチェンジにあわせて管理を見直したい

具体的にどのようなシチュエーションが多いのか、以下で詳しく見ていきましょう。

1. 管理費用が高い

管理費用が高いことは、オーナーが管理会社を変更する主な理由のひとつです。管理費用は一般的に家賃収入の約5%が相場となっているため、もし支払っている管理費用がそれよりも高い場合は管理会社の見直しを検討するとよいでしょう。

ただし、単に管理費用のみに注目するのではなく、サービスの質とのバランスを考慮して判断することが重要です。

2. 担当者や管理状況に不満がある

担当者の対応や管理状況に不満を抱いている場合も、管理会社の変更を検討する必要があります。たとえば「トラブルやクレームが発生しても連絡や相談がない」「対応が遅い」「事前の相談なしで修繕工事を実施する」といったケースが頻繁にあると、オーナー自身だけでなく入居者側においても不信感が高まります。

まずは管理会社との契約内容を改めて確認し、契約に含まれている業務が行われていない場合は管理会社へ対応の改善を求めましょう。それでも変化がみられない場合は、ほかの管理会社への変更を本格的に検討することをおすすめします。

管理会社が対応してくれない時に確認しておきたいポイントは、以下の記事でも解説しています。
>>管理会社が対応してくれない時のオーナーに求められる6つの視点

3. 空室状況が改善されない

空室状況が改善されないことも、管理会社の変更を検討するべきひとつの状況です。

適切な対応を行っている管理会社であれば、常に周辺の賃貸マンション市場にアンテナを張って競合の状況を把握し、該当物件の特性を踏まえたうえで対策を提案してくれます。もし空室があるにもかかわらず管理会社側から具体的なアドバイスがない場合、あるいは改善策を検討せずに家賃の引き下げばかりを勧めてくる場合は、より親身にサポートしてくれる管理会社へ変更するとよいでしょう。

4. 管理会社の経営状況が良くない

管理会社の経営状況が良くない場合も注意が必要です。物件の管理業務がおろそかになったり、家賃の入金が遅くなったりといった悪影響が懸念されます。

もし管理会社が破綻してしまった場合は家賃の回収ができなくなることもあるため、少しでも管理会社の対応に不審な点がみられる場合は早めに変更を検討することが大切です。

5. オーナーチェンジにあわせて管理を見直したい

中古物件を購入して賃貸経営を行っているオーナーの場合は、前オーナーの時に該当物件を担当していた管理会社と引き続き契約するケースが多くみられます。その物件に慣れていることから安心して委託できるメリットがありますが、場合によっては質の悪い管理会社である可能性もあるため、オーナーチェンジの際に自分で選定したところへ変更するのもひとつの選択肢です。

管理会社を変えるメリット・デメリット

管理会社を変えるメリット・デメリット

前述したようなシチュエーションにおいては、管理会社の変更によって悩みが解消され、賃貸経営がしやすくなる可能性があります。しかし、新しい管理会社の質によってはさらに状況が悪化したり、入居者の不満が高まったりする恐れもあるため注意が必要です。

ぜひ管理会社を変更するメリットだけでなくデメリットにも注目し、ご自身のケースにおいて管理会社の変更が最良の対処法なのかどうかを慎重に見極めていきましょう。

管理会社を変えるメリット

管理会社を変更するメリットは、主に下記の2点です。

管理の質が上がる

管理委託項目の仕様が適正で、その仕様に対して忠実に対応している管理会社へ変更すれば、管理の品質向上によって賃貸経営がしやすくなるでしょう。以前よりも清掃が行き届いたり、設備のメンテナンスがしっかりと行われたりなど住み心地の良い環境へ改善できると、入居者の満足度アップにもつながります。

管理費を削減できる

もし該当物件の分譲時から管理費用削減の交渉やサービス内容の見直しを行ったことがない場合、管理会社の変更によって管理費用を抑えられる可能性があります。

というのも、新築マンションにおいては分譲を行ったデベロッパーの系列会社が管理会社として決まっていることが多く、デベロッパー系列の管理会社は親会社が大手企業であるケースがほとんどです。そういった管理会社ではブランド力維持を目的として相場よりも高い管理費用に設定しているケースが多々みられることから、デベロッパー系列ではない管理会社へ変更すれば管理費用の削減につながります。

管理会社を変えるデメリット

一方で、管理会社を変更する場合は下記2点のリスクが懸念されます。

結果として管理の質が下がる可能性がある

先述のように管理会社の変更によって品質向上やコスト削減を実現できる場合もありますが、変更先によっては逆に管理の質が下がる可能性もあります。特に管理費用の安さに惹かれて管理会社を乗り換えた場合は、以前の会社よりもサービスの質が低かったり、対応している管理業務の範囲が狭くなったりするリスクがある点に注意が必要です。

入居者からの新たなクレームの原因となる場合がある

管理会社の変更が、入居者からの新たなクレームにつながる恐れもあります。たとえば家賃の振込先の変更などで入居者が手間に感じる可能性もあるほか、委託内容によっては「以前の管理会社では対応してもらっていたことが新しい管理会社では対応してもらえない」などと不満に感じる入居者もいるでしょう。

管理会社の変更は、慎重に行わないとリスクとなってしまうこともあります。LIXILリアルティでは、管理会社の変更についてお悩みのオーナー様を豊富な知識と実績でサポートさせていただきます。賃貸管理サービスについてさらに知りたい方には、資料をご用意しておりますのでご覧ください。

管理会社を変更する手順

管理会社を変更する手順

ここでは、管理会社の変更における基本的な手順について解説します。どのようなステップを踏む必要があるのかをあらかじめ把握しておくことで、よりスムーズに新しい管理会社へ移行できるでしょう。

1. 管理会社を変更する目的を明確にする

まずは状況を整理し、管理会社を変更する目的をクリアにすることが大切です。このステップをしっかりと踏むことにより、「管理会社を変更したのに結局状況が改善されなかった」といった失敗の回避につながります。

2. 複数の管理会社から見積もりを取り比較する

変更目的が明確になったら、新しい管理会社を選定します。その際は複数の管理会社から見積もりを取り、希望する管理業務内容を依頼する場合の費用水準に注目しながら比較検討するとよいでしょう。

なお、見積もりを依頼する際は、どの会社にも同じ条件を提示することが大切です。また、見積もりのやり取り時に担当者の雰囲気などもあわせてチェックし、ご自身との相性を見極めることをおすすめします。

3. 現行の管理会社に解約を通知する

契約する管理会社が決まったら、現在契約している管理会社へ解約通知を行いましょう。管理会社間での引き継ぎや入居者への通知対応などに時間がかかることを考慮し、変更希望日の3か月前には管理会社へ解約したい旨を申し出ることが望ましいです。

4. 新旧管理会社間で業務の引き継ぎを行う

現在契約中の管理会社へ解約通知を行ったら、新旧の管理会社間で業務の引き継ぎが行われます。具体的には共用部分の鍵や契約書などの受け渡しのほか、入居者からのクレーム・要望についての共有などです。

管理会社間での引き継ぎがしっかりと行われていないと、のちにクレームやトラブルが発生する恐れがあります。そのため、基本的には管理会社間で行われる作業ではあるものの、できる限りオーナーも同席して引き継ぎ内容を確認できると安心です。

5. 入居者へ通知する

管理会社間での引き継ぎが完了したら、入居者へ速やかに管理会社の変更を通知します。一般的には文書で知らせるケースが多く、文書には以下の内容を盛り込むことが必要です。

  • 管理会社を変更する期日
  • 新しい管理会社の名称・住所・連絡先
  • 新しい管理会社の口座(家賃の振込先)

なお、家賃の振込先が変更になる場合は入居者に手間をかけることになるため、トラブル回避のために口頭でも丁寧に説明し、理解を促すケースもあります。

管理会社を変更するときに発生しやすい5つのトラブルと予防策

管理会社を変更するときに発生しやすい5つのトラブルと予防策

管理会社を変更する際には、管理会社間の引き継ぎ不足や入居者とのコミュニケーション不足などでトラブルになることもあります。ここでは、特に注意したい5つのトラブルとそれぞれの予防策についてまとめました。

1. 管理会社の解約がうまく進まない

解約予告期間や違約金などの条件があることを知らずに管理会社へ解約を通知すると、スムーズに解約ができずにトラブルへ発展する可能性があります。解約通知を行う前には必ず契約書を確認し、解約時の条件の有無をしっかりと確認することが大切です。

2. 前管理会社が解約日までの業務を十分にしない

解約を通知してから実際に解約となるまでの間、前管理会社が管理業務をしっかりと行ってくれなかったり、引き継ぎ業務に非協力的になったりするケースもみられます。そういった事態を未然に防ぐために、前管理会社とはできるだけ良好な関係をキープすることを意識しながら管理会社の移行を進めることがポイントです。

3. 家賃が前の管理会社の口座に振り込まれる

入居者が管理会社変更に伴う口座変更手続きをきちんと行っておらず、家賃が前管理会社の口座に振り込まれてしまってトラブルに発展するケースもあります。文書のみで口座変更を通知すると記憶に残りづらく、場合によっては文書自体が読まれずに放っておかれる恐れもあるため、電話や対面などできるだけ口頭で説明することをおすすめします。

4. 鍵や契約書類などを紛失する

新旧の管理会社間で引き継ぎ業務がうまく進まないことが原因で、鍵や契約書類などを紛失するトラブルが起こることも多いです。引き継ぎ状況についてこまめに確認したり、必ずオーナーの立ち会いのもとで引き継ぎを行ってもらったりと工夫することで、重要な物品の紛失リスクを軽減できるでしょう。

5. 管理会社間での引き継ぎが不十分でクレームがあがる

管理会社間の引き継ぎが不十分な場合、過去に入居者から出た要望やクレームが引き継がれずにトラブルになるケースもみられます。なかには故意に伝えない管理会社も存在するため、やはり引き継ぎの進捗状況をしっかりとチェックしたり、オーナー自身が引き継ぎに立ち会ったりして対策を講じることが必要です。

管理会社を変更するときに知っておきたい4つの注意点

管理会社を変更するときに知っておきたい4つの注意点

円滑に管理会社の変更を行うために、下記の4つの点に注意しながら移行手続きを進めていくとよいでしょう。

1. 保証会社との契約を確認する

入居者が家賃を滞納した場合に備えて保証会社と契約している場合は、保証会社との契約内容について改めて確認する必要があります。なかには途中解約を避けることを目的として、管理会社が変更されると自動的に保証会社との契約も切れる取り決めになっているケースもあるためです。

そのような場合は、管理会社の変更に伴って保証会社との契約を新規で締結しなければならず、その分余計な手間や費用がかかります。まずは保証会社との契約条件についてきちんと確認し、保証会社も変更せざるを得ない場合は、新しい管理会社とも相談しながら最善の方法を探すことが大切です。

2. 融資を受けている金融機関に事前に連絡する

賃貸物件を取得する際に金融機関から融資を受けている場合は、管理会社を変更する旨をあらかじめ相談しておくことをおすすめします。物件の収益性や資産価値に大きな関わりを持つ管理会社を無断で変更してしまうと、金融機関に悪い印象を与える可能性があるためです。

新しい管理会社にも対応方法を相談しながら、金融機関へ事前にきちんと連絡しておきましょう。

3. オーナーができるだけ引き継ぎに立ち会う

引き継ぎ業務は基本的に管理会社間で完結するものですが、先述のように引き継ぎ漏れによってトラブルに発展するリスクが懸念されます。そのため、引き継ぎには可能な限りオーナーが立ち会い、適切に行われるようしっかりと見守ることが大切です。

4. 管理費用の安さだけではなく管理の質を重視して管理会社を決める

新しい管理会社を選定する際に、管理費用だけでなく管理の質を重視することも重要なポイントです。

たとえば管理費用が高い場合は費用面がネックになりやすいですが、その分管理業務が充実していて入居者の満足度アップにつながるケースも多くみられます。一方、管理費用の安さだけで選んでしまうと、コスト面では満足でも対応面で不満を感じ、後悔する事例も少なくありません。

そのため、管理会社は金額のみで選ぶのではなく、管理費用の内訳などの説明を受けて、サービス内容が金額に見合っているかを判断したうえで選定するとよいでしょう。

管理会社の選び方については、以下の記事でも解説しています。
>>管理会社の選び方ポイント5選

管理会社の変更を検討し始めたら

管理会社の変更を検討し始めたら

ここまでご紹介した内容を踏まえたうえで、管理会社の変更をお考えの場合は、ぜひLIXILリアルティの賃貸管理サービスに注目されてはいかがでしょうか。LIXILリアルティでは主に下記の管理対応を行っており、リーシングや入居者対応、建物メンテナンスといった幅広いサポートによって賃貸マンションオーナー様の安心かつ快適な賃貸経営を支えております。

  • 最適な家賃の設定
  • 入居者の募集・審査
  • 入居者の指導・管理
  • 家賃・共益費などの徴収
  • トラブルやクレームへの24時間対応
  • 契約違反者に関する対処
  • 退去時のトラブル対応
  • 修営繕工事
  • 建物メンテナンス業務(定期清掃業務)※別途お見積り

実際にLIXILリアルティを利用されているオーナー様からは、「入居者とオーナーとの間でしっかりと対応してくれて安心感が高い」「“報連相”がきちんとしていて非常に信頼できる」といった満足の声を多くいただいております。オーナー様ひとりひとりに賃貸管理のプロが寄り添い、物件の特性に合わせてカスタマイズしたサービスを提供していることも満足度の高さにつながっています。

現在の管理会社に不満を抱えている方はもちろん、これからマンション経営を検討されている方など、まずはぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

管理会社の変更は、現在契約している管理会社への不満を解消するひとつの方法です。ただし、メリットだけでなくデメリットやトラブル発生のリスクも存在するため、変更すべきかどうかを慎重に検討したうえで新しい管理会社の選定を行う必要があります。

もし変更する場合は「管理費用とサービス内容のバランス」に注目して新しい管理会社を選び、管理会社とのスムーズな連携によって快適かつ収益性の高い賃貸マンション経営を目指していきましょう。

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