はじめに
所有している賃貸物件の管理業務を不動産管理会社へ委託するにあたり、管理手数料の相場について気になっている方もいるのではないでしょうか。利益の最大化に向けて「なるべくコストを抑えたい」と考えるオーナー様は多いですが、相場よりも安すぎる場合は業務範囲が限られていたり、管理の質が低かったりするリスクがあるため注意が必要です。
そこで、今回は不動産管理会社に支払う管理手数料の相場を解説するとともに、手数料の範囲内で委託できる業務内容や委託のメリット・デメリットをまとめました。また、手数料の安さを重視するリスクや管理会社の選び方にも触れながら、コストと質のバランスに優れた賃貸管理サービスの魅力についてもあわせてご紹介します。
管理手数料の相場や管理会社を選ぶポイントなどの知識を深め、ぜひご自身に合った賃貸管理サービス選びにお役立てください。
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賃貸物件の管理手数料の相場
まずは、管理手数料の概要や相場について押さえておきましょう。
管理手数料とは
管理手数料とは、オーナーが所有する賃貸物件の管理業務を不動産管理会社に委託する場合に支払う費用のことです。入居者にとって快適な生活環境を維持し、物件の価値を守るために必要となるさまざまな業務に対する手数料であり、不動産管理会社との契約後は毎月一定額を支払い続ける必要があります。
管理手数料の相場
管理手数料の金額は各不動産管理会社によって異なりますが、一般的には「家賃収入の5%」が相場です。そのため、家賃が高いほど管理手数料も高くなります。
たとえば家賃10万円の物件を5件所有している場合に手数料率が5％であるとすると、合計50万円の家賃収入に対して月々の管理手数料は25,000円になります。なお、家賃滞納者が出た場合でもオーナーは所定の管理手数料を支払わなければならない点に注意しましょう。
管理手数料で委託できる業務
管理手数料を支払うことで所有物件の管理業務を不動産管理会社へ委託できますが、すべての業務を手数料の範囲内で行ってもらえるとは限りません。ここでは、一般的に管理手数料に含まれていることが多い業務と、別途費用がかかる業務について詳しく解説します。
管理手数料に含まれる業務
利用する不動産管理会社によっても異なりますが、管理手数料に含まれていることが多い業務は以下のとおりです。
入居者の募集
空室がある場合、不動産管理会社は自社のホームページや仲介サイトなどに物件の情報を掲載したり、チラシを配布したりして入居者募集活動を行います。また、入居希望者の内見に立ち会って物件に関する説明を行い、できるだけ早く新しい入居者が決まるよう尽力します。
賃貸借契約の締結・更新
新しい入居者への契約締結や入居後の契約更新といった手続き業務も、管理手数料の範囲内としている不動産管理会社が多いです。契約内容に不備があったり、更新案内を忘れていたりするとトラブルに発展する恐れがあるため、信頼できる管理会社へ委託できると安心です。
家賃の集金・滞納の督促
家賃回収は不動産管理会社における中心的業務であり、毎月の家賃回収や家賃滞納者への督促をオーナーに代わって行います。ただし、入居者が家賃保証会社と契約している場合、入居者への督促は基本的に家賃保証会社の担当業務となります。
入居者からのクレーム対応
入居者からのクレーム対応も、不動産管理会社における基本業務のひとつです。クレーム内容は多岐にわたり、たとえば設備の故障や騒音トラブル、ルール違反等による近隣住民への苦情などが挙げられます。
退去の手続き、立会、精算
入居者が退去する際は不動産管理会社が立ち会い、オーナーに代わって退去手続きを行います。部屋の状況を入居者とともに確認し、原状回復費用の算出を行ったうえで敷金等の精算について案内する流れです。
管理手数料に含まれない業務
一方、発生する頻度にばらつきのある次のような業務は管理手数料の範囲に含まれないことが多く、別途費用が発生するケースが一般的です。
原状回復費用
次の入居者を募集するにあたってはルームクリーニングやエアコン清掃、クロス・クッションフロアの張り替え等を行って原状回復を図りますが、その際に発生する費用は管理手数料には含まれていません。オーナー自身が負担する必要があり、目安としては単身向けの部屋で10～15万円程度が相場となっています。
室内設備の修繕・交換費用
給湯器やトイレ、エアコン、照明器具といった室内設備の修繕・交換費用も管理手数料の範囲外です。利用する不動産管理会社によっては業者の手配を代行してもらえる場合もありますが、費用はすべてオーナー側が負担します。
定期清掃や設備点検費用
共用部分の定期清掃や設備点検費用なども、オプション契約としている不動産管理会社が多くみられます。なかには簡易清掃のみ管理手数料に含まれる場合もありますが、管理会社によって具体的な清掃内容は異なるため、事前にしっかりと詳細を確認しておくことが大切です。
管理会社に管理業務を委託するメリット・デメリット
不動産管理会社の利用を検討するにあたり、管理会社に業務委託するのか、それともオーナー自身が自主管理を行うべきかを悩んでいる方もいるかもしれません。ここでは管理会社に業務委託するメリット・デメリットに注目します。業務委託と自主管理のどちらがご自身に合っているかを見極めていきましょう。
管理会社に委託するメリット
不動産管理会社に業務委託するメリットは、主に次の3点です。
オーナーの負担が軽減される
不動産管理会社に委託する最大のメリットといえるのが、オーナーの負担を軽減できることです。賃貸物件の管理業務は入居者募集から新規契約・更新手続き、家賃の集金、滞納への督促、クレーム対応や退去時の対応など多岐にわたり、これらすべての業務をオーナー自身で対応するには大変多くの時間と労力を要します。
一方、管理会社を利用すればさまざまな管理業務を代行してもらえるため、オーナーは肉体的にも精神的にも少ない負担で賃貸経営を進めることが可能です。特に副業として行っていたり、物件の所在地がオーナーの居住地から遠かったりする場合は、業務委託によるメリットを実感しやすいでしょう。
入居者の満足度を向上できる
不動産管理会社によってトラブル時の対応や清掃・設備点検などが適切に行われれば、入居者は快適に生活できます。その結果、入居者の満足度が向上して退去率が下がり、安定した賃貸経営につながる点が大きなメリットです。
賃貸管理のノウハウを得られる
不動産管理会社は賃貸管理業務に精通しており、プロならではの知見を活かしたサポートを受けられることもひとつの魅力です。不動産経営の経験がない、あるいは少ないオーナーでも、管理会社による的確なアドバイスによってスムーズに賃貸経営を進められるでしょう。
管理会社に委託するデメリット
一方で、賃貸管理を不動産管理会社に委託するデメリットとして以下の2点が挙げられます。
費用がかかる
先述のように、不動産管理会社へ業務委託を行う場合は家賃収入の5%ほどの管理手数料が発生します。そのため、自主管理よりも家賃収入が少なくなることは避けられません。
もし費用を抑えたい場合は、まずはご自身の物件に合ったサポート内容についてじっくりと検討し、必要最低限のサービスを受けられる管理会社を選ぶようにするとコストカットを実現しやすくなるでしょう。
管理品質が悪い管理会社もある
不動産管理会社によって管理品質が異なり、質の悪い管理業務を行う会社を選んでしまうと「クレームが発生しても迅速に対応してくれない」「なかなか空室が埋まらない」といった悩みを抱える恐れがあります。そのような状態では賃貸経営を行ううえでマイナスの影響が大きいため、価格だけでなくサービスの品質にも注目しながら慎重に管理会社を選ぶことが大切です。
LIXILリアルティでは、蓄積されたノウハウをもとにした安心できる管理品質で、オーナー様の賃貸経営をしっかりサポートします。賃貸管理サービスについて詳しく知りたい方は、ぜひ資料をダウンロードしてご確認ください。
手数料の安さを重視する場合の注意点
不動産管理会社を選ぶうえで、「できるだけ手数料が安いところを利用したい」とお考えのオーナーもいることでしょう。コストを軽減できればその分多くの収入を得られますが、手数料が安い管理会社には一般的に以下のようなリスクがある点に注意が必要です。
業務範囲が限られていることがある
管理手数料が安い場合、限られた範囲の管理業務しか対応してもらえない場合があります。いくら手数料を抑えられても希望する業務を行ってもらえなければ利用する価値がなくなってしまうため、安さのみに注目して管理会社を選ぶことは避けるほうがよいでしょう。
管理業務の質が低い可能性がある
管理手数料が安い不動産管理会社のなかには、管理業務の質が低いところも存在します。そういった会社に委託してしまうと、管理が行き届いていないことによって入居者の不満がつのり、退去につながる恐れがあるため注意が必要です。
退去が発生すると原状回復費用を負担する必要があるほか、新しい入居者が見つかるまで家賃収入を得られなくなることもオーナーにとって大きな痛手となります。手数料の安さのみを判断基準にせず、品質にも目を向けて管理会社を選ぶことが大切です。
費用総額が高くついてしまう場合がある
先述のように、管理手数料のみですべての賃貸管理業務を業務委託できるわけではありません。特に手数料の範囲内で対応可能な業務が少ない管理会社を選んだ場合、オプション費用がかさんで結果的に費用総額が高くなる可能性がある点にも注意しましょう。
そういった事態を回避するためには、委託する管理業務を事前に明確にしたうえで、トータルでどのくらいの費用がかかるのかをシミュレーションしておくことが大切です。
手数料「無料」は慎重に検討する
近年は「管理手数料無料」とうたう不動産管理会社が増えつつあり、なるべくコストを抑えて利用したいオーナーにとっては非常に魅力的に感じるかもしれません。しかし、そのような管理会社では手数料の範囲内で行ってもらえる管理業務が少なかったり、入居者が決まった場合に成功報酬として高額な費用が発生したりといった、無料になる相応の理由があります。
そのため、「無料で利用しやすそう」などと金額のみを重視した動機で契約するのではなく、無料である理由をしっかりと把握したうえで慎重に検討することをおすすめします。
管理会社を選ぶときの5つのチェックポイント
ここまでご紹介した内容を踏まえ、不動産管理会社を選ぶ際にチェックしたい5つのポイントを解説します。
管理棟数や戸数の実績を確認する
まずは、気になっている不動産管理会社の公式サイト等で、管理棟数や戸数の実績を確認してみましょう。数が多ければ多いほど経験値が高く、ノウハウを活かした質の高いサポートによってスムーズに賃貸経営を行える可能性が高いです。
また、大規模な件数を扱っている管理会社を利用すれば、スケールメリットによってコストを抑えた賃貸経営が叶いやすい点もうれしい魅力です。
入居率を高める提案をしてくれるか
不動産管理会社が手がけた過去の事例に注目し、どのような空室対策を行っているかを確認することも大切です。なかには安易に家賃の引き下げを提案する管理会社もみられますが、家賃を下げると収益性がダウンするだけでなく、将来手放す際の売り値や資産価値に悪影響となったり、既存の入居者が不満を覚えたりとさまざまなデメリットがあります。
そのため、「家賃の引き下げは最終手段」といった認識のもとで空室対策を行っている管理会社がおすすめです。しっかりと市場調査を行ったうえで販促活動の強化や人気設備の導入、初期費用の削減といった入居率アップに向けた工夫を行っているところに業務委託できれば、空室を効果的に回避しながら安定した賃貸経営を目指せます。
迅速な対応ができる体制があるか
トラブル発生時の対応の早さも、管理会社を選ぶうえでチェックしておきたいポイントです。管理担当社員の人数や電気・水道といった専門業者とのネットワークの有無に注目し、トラブル発生から1時間以内に現場へ到着できるくらいのしっかりとした体制が整備されている会社を選ぶとよいでしょう。
また、24時間対応のコールセンターが設置されているかどうかも、迅速な対応が可能かを見極めるひとつの判断材料となります。
担当者のスキルや相性がマッチするか
不動産管理会社と契約すると、物件ごとに担当者が付くケースが多く、オーナーは基本的にその担当者とやりとりをしながら賃貸経営を行います。そのため、担当者が希望に沿ったスキルを有しているか、相性はマッチするかといった点も事前に確認しておくことが大切です。
口コミを参考にしたり、契約前の相談段階での雰囲気やレスポンスの早さ、対応の丁寧さなどをチェックしたりすることで、ご自身に合うかどうか、信頼して任せられる担当者かどうかを見極めやすくなるでしょう。
管理手数料（率）が適正か
先述のように、管理手数料が安すぎる場合はほかの部分でコストがかかったり、管理の質に不安があったりするため、管理手数料の安さのみに注目することはおすすめではありません。相場となっている「家賃収入の5％」を目安として管理手数料が適正かを判断し、手数料の範囲内で行ってもらえる業務内容やオプションを含めたトータルコストも踏まえて、管理会社選びを行うことがポイントです。
管理会社の選び方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
＞＞管理会社の選び方ポイント5選
賃貸管理の手数料はコストと質のバランスが大切
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まとめ
管理手数料とは、不動産管理会社に管理業務を委託する場合に発生する費用のことであり、家賃収入の5％が相場となっています。手数料の範囲内で行ってもらえる業務内容は管理会社によって異なり、場合によっては範囲外の費用が高くつく可能性もあるため、手数料の安さだけ見るのではなく、オプションも含めたトータルコストに注目するとよいでしょう。
また、利益の最大化を目指すためには、品質の高いサービスを提供しているところを選ぶことも大切です。ぜひコストと質のバランスに優れた管理会社に業務委託を行い、安定した賃貸経営を目指しましょう。
