はじめに
所有しているマンションやアパートなどで騒音トラブルが発生した場合に、どのように対処したらいいのか気になっているオーナーもいるのではないでしょうか。騒音トラブルは「入居者間のトラブルにおいて最も解決が難しい」といわれており、場合によっては問題がさらに悪化したり、長期化したりするリスクがあるため慎重かつ丁寧な対応が必要です。
そこで、今回は騒音トラブルの実態やオーナー・管理会社の責任、放置するリスクに触れながら、基本的な対処手順や注意点、問題解決の難しさをまとめました。また、自身でのトラブル対応に不安がある、あるいは現在業務委託している管理会社の対応に不満を感じているオーナーに向けて、騒音トラブルの対応実績が豊富な「LIXILリアルティの賃貸管理サービス」についてもあわせてご紹介します。
LIXILリアルティでは、オーナーさまの賃貸経営をサポートする賃貸管理サービスをご提供しています。マンション管理についてお悩みごとがある方は、まずお気軽にお問い合わせください。
騒音トラブルの実態
騒音トラブルは、マンションやアパートといった集合住宅で多く発生する近隣トラブルです。
管理手数料とは
Alba Link不動産総研が2022年10月に実施したアンケート調査によると、集合住宅にお住まいの方500名のうち、「騒音に悩んだ経験がある」と答えた方は78.2%でした。集合住宅は住居が上下左右に接しているほか、生活スタイルが異なる住人同士が同じ建物内に居住しているため、騒音トラブルが起こりやすい傾向があります。
出典:https://wakearipro.com/noise-trouble/
また、近年は静かな生活を求める方が増えており、騒音と判断される基準が低くなってきていることも要因のひとつといえます。
騒音トラブルの原因になりうる音
集合住宅における騒音トラブルは、隣や上下の部屋からの生活音が原因で発生するケースが一般的です。具体的にどのような音がトラブルにつながりやすいのか、以下で詳しく見ていきましょう。
足音やドアの開閉音
足音やドアの開閉音は、集合住宅における騒音トラブルの代表的な要因です。自身ではそれほど大きな音を立てたつもりがなくても、木造などの構造上の理由から音が大きく伝わってしまうことも少なくありません。
特に夜間の静かな時間帯には音が響きやすく、一般的な就寝時間帯にバタバタと音を立てている居住者がいると「睡眠を妨げられる」といったクレームが発生しやすい傾向があります。
洗濯機や掃除機の音
掃除機や洗濯機など、音や振動が発生する家電が騒音トラブルの要因になるケースも増えてきています。機器の性能によって音や振動の大きさは異なりますが、特に深夜・早朝の時間帯はたとえ音の静かな機種であってもトラブルのもとになる可能性があります。
浴室やトイレなどの生活排水音
浴室やトイレ、キッチンなどで発生する生活排水音も、集合住宅における騒音トラブルの要因になりえます。特に木造の建物では流水音や排水時の振動音が響きやすく、早朝や深夜の時間帯に排水を伴う家電や住居設備を使用するとクレームになりやすい印象です。
子どもの声や足音
マンションやアパートといった集合住宅では、子どもの叫び声や泣き声、走り回る音などもトラブルの要因になりやすいです。特に子どものいない世帯からの苦情を招きやすいといわれており、子どものいる世帯においては加害感が少ないこと、子どもは音を制御できないことから問題が長期化する傾向があります。
楽器の演奏
楽器の演奏音も、集合住宅内でクレームに発展しやすい生活音のひとつです。そもそも「楽器の演奏不可」としているマンションやアパートもありますが、「演奏可」としつつ使用NGの楽器が指定されている物件もあり、そういったルールを無視して演奏する住人がいると大きなトラブルになります。
また、たとえ「演奏可」の物件であっても、時間帯や音量によっては苦情につながる可能性があります。
Web会議の話し声
近年はリモートワークの普及によって自宅でWeb会議を行う方も増えてきており、その話し声が隣室に漏れて騒音トラブルになるケースも少なくありません。特に防音性の低い木造アパートの場合は、声のボリュームに気をつけていても隣室に聞こえやすい傾向がみられます。
騒音と判断される基準はあるのか
騒音トラブルには上記のような要因があるとはいえ、まったく音を立てずに生活することは不可能です。また、集合住宅の構造上、ほかの部屋の音は必ず聞こえるため、同じ建物内で暮らす住人同士でお互いの生活音をある程度は許容する必要があります。
この受け入れるべき不快や迷惑の程度は「受忍限度」と呼ばれており、受忍限度を超えるほどの音であれば法的に騒音として判断され、相手に騒音を出さないように求めることが可能です。なお、受忍限度を超えた騒音かどうかは、下記のような要素から総合的に判断されます。
- 騒音の大きさ
- 騒音の時間帯
- 騒音の長さ
- 騒音の種類
- 騒音の頻度
騒音を発生させている住人の賃貸借契約を解除できるのか
騒音を発生させてほかの住人に迷惑をかけている入居者がいる場合、トラブルの程度によっては「賃貸借契約を解除したい」と考えるオーナーもいるでしょう。賃借人と賃貸人の間で交わす賃貸借契約書には『深夜の楽器演奏は禁止』『騒音によって近隣に迷惑をかけないようにする』などの項目が記載されていることが多く、契約違反に該当する入居者には理論上、契約解除を求めることが可能です。
しかし、実際にはそう簡単に契約解除へ踏み切ることはできません。契約違反となる騒音トラブルが発生したとしても、「信頼関係を破壊したと認めるに足りない特段の事情」がある場合には賃貸契約を解除することが難しいとされています。
ちなみに「信頼関係を破壊した」と認められるケースとしては、警察から何度注意を受けても態度を改めない場合などが挙げられます。つまり、たびたび警察沙汰になるような案件でない限りは契約を解除できないため、騒音トラブルが発生したらまずは問題解決に向けてしっかりと対処することが大切です。
騒音トラブルにおけるオーナー・管理会社の責任
もし所有する集合住宅で騒音トラブルが発生した場合、オーナーは「当事者同士で話し合って解決すべき」などと見て見ぬふりをするのではなく、適切な対処を行わなければなりません。というのも、民法601条において『賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。』と定められており、オーナーは自身が所有する物件を有償で貸す以上、賃借人が平穏な生活を送れるように賃貸管理を行う責任があるためです。
当然、オーナーから管理を委託された管理会社にも同様の義務があり、騒音トラブルが発生したらオーナーに代わって速やかに対応する必要があります。
LIXILリアルティの賃貸管理サービスでは、騒音やゴミ問題などのトラブルが発生しないよう、しっかりと管理を行います。トラブルやクレームへの対応は24時間受付しておりますので、安心してお任せいただけます。サービスの詳しい情報は、資料をダウンロードしてご確認ください。
騒音トラブルを放置するリスク
先述のように、騒音トラブルが発生した際は、オーナーあるいは管理会社が迅速に対応しなければなりません。もし適切に対処せず騒音トラブルを放置した場合、以下のようなリスクがあります。
退去につながる
騒音トラブルの放置は、退去の発生につながります。場合によっては同じ悩みを抱える複数の住人が一斉に退去する可能性もあり、その分の家賃収入がなくなってしまうことはオーナーにとって非常に大きな痛手です。
物件の評判が下がる
騒音トラブルに対するオーナーや管理会社の対応が不十分だと、賃貸物件の口コミ情報サイト等に悪い評価を書かれてしまうリスクがあります。物件探しの際に口コミを参考にする人は多いため、悪い評判は入居者募集に悪影響を与える可能性が高いでしょう。
問題が重大化する
「オーナーや管理会社が騒音トラブルを放置している」と判断した入居者は、管轄の自治体の公害苦情相談窓口に連絡をしたり、警察に通報したりする可能性があります。場合によっては訴訟に発展するなど事態が深刻化する可能性があり、物件のイメージダウンは避けられません。
また、訴訟には手間や費用が発生し、オーナーの本業やマンション経営に支障をきたすリスクがある点にも注意が必要です。
管理を委託している管理会社が十分なトラブル対応をしてくれない場合の対処については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>管理会社が対応してくれない時のオーナーに求められる6つの視点
騒音トラブルへの対処と注意点
オーナー自身が物件の管理を行っている場合はもちろん、管理会社が適切な対応をしていない場合においても、住人からオーナーへ直接クレームが入る可能性があります。ここでは、騒音トラブルが発生した際の具体的な対処法と注意点を押さえておきましょう。
騒音状況の確認とヒアリング
騒音に関するクレームを受けたら、まずは通報者に状況のヒアリングを行います。その際は次のような項目について具体的に聞き取り調査をしたうえで、ほかの入居者にも騒音状況について尋ねたり、実際に騒音が発生しているかどうかを自分自身でチェックしたりと慎重に事実確認を進めていきましょう。
- 騒音が気になり始めた時期
- 音が気になる主な時間帯
- 音の発生源(上階・下階・隣など)
- 音の種類(足音・機械音・ドアの開閉音・話し声など)
- 音のレベル(可能であれば騒音計などの測定器で計測)
騒音注意文の作成
騒音トラブルの詳細を確認できたら騒音注意文を作成し、掲示板に貼ったり、ポストに投函したりして注意喚起を行うとよいでしょう。まずは特定の入居者ではなく住民全員に向けて呼びかけることにより、事を大きくせずに解決できる可能性があります。
騒音注意文を作成する際には、「騒音によって近隣に迷惑をかけないようにしましょう」といった大まかな内容ではなく、騒音の種類や原因などを具体的に明記することがポイントです。もちろん個人情報は出さないように注意しながら「23時ごろのギター演奏」といった具合に騒音の詳細に触れ、実際に相談が寄せられている点にも言及することをおすすめします。
騒音元の入居者に連絡
騒音注意文によって騒音トラブルについて周知しても状況が改善されない場合は、騒音の発生元と考えられる入居者へ個別に連絡します。その際は、オーナーや管理会社は中立の立場であることを忘れずに、相手の言い分にしっかりと耳を傾けながら話をすることが大切です。
また、間違っても通報者の詳細は知らせず、匿名性を保つようにしましょう。「○○さんからクレームがありました」などと個人名を伝えてしまうと、場合によってはさらに大きなトラブルへと進展する恐れがあるため注意が必要です。
通報元の入居者に報告
騒音元の入居者への連絡が済んだら、通報元の入居者に報告を行います。通報者は「あの件はどうなっているのか」と日々気にしながら生活していることが想定されるため、進捗状況をしっかりと共有することが大切です。
騒音問題解決の難しさ
ここまで騒音トラブルへの基本的な対処法についてご紹介しましたが、実際にはスムーズな解決が難しく、問題が長期化しやすいといわれています。その主な理由は以下の通りです。
人によって感じ方が違う
騒音トラブルの解決を困難にしている最大の理由といえるのが、人によって騒音としてとらえる音の種類やレベルが異なることです。「どのような音が騒音で、どこまでが許容範囲内なのか」といった明確な基準がないなかで対応しなければならず、そもそも入居者間での感覚や考え方の違いによってトラブルが発生している背景もあり、円満に解決できずに長期化しやすい傾向があります。
騒音元の特定が困難
音は目に見えないことから物的証拠を残すことが難しく、騒音元の特定を困難にしていることも解決が難しい要因のひとつです。建物構造などによって「隣から聞こえると思った音が実は違うところからの音だった」といったケースも多くみられ、騒音がどこから発生しているのか特定できるまでにかなりの時間を要する場合も少なくありません。
生活騒音の規制は難しい
生活音を管理・規制することが難しい点も、騒音トラブルの解決を困難にしています。工事や建設作業の場合は騒音規制法の基準に基づいた規制が可能ですが、民間の住宅における明確な基準は法律等で定められていないため、解決へのハードルが非常に高いです。
騒音トラブルの対応実績がある管理会社への変更がおすすめ
ここまでご紹介した通り、騒音トラブルはマンションやアパートといった集合住宅において頻発しやすく、人それぞれ感じ方が異なる騒音の問題をスムーズかつ円満に解決することは大変難しいです。そのため、もしオーナー自身でのトラブル対応に不安があったり、委託している管理会社のトラブル対応に不満を感じていたりする場合は、騒音トラブルの対応実績が豊富な管理会社の利用を検討するとよいでしょう。
実績豊富な管理会社であれば、これまでの多種多様な経験から培ったノウハウをもとにした、適切な対応を期待できます。円満に解決できればオーナー様における心身の負担が軽減されるだけでなく、入居者様の満足度もアップして賃貸経営の安定化につながるでしょう。
賃貸管理サービスを展開するLIXILリアルティは今回ご紹介したような騒音トラブルをはじめ、マナーに関する問題や設備異常など、あらゆるトラブル対応の実績が豊富にあります。また、24時間体制でクレーム対応を行っており、発生したトラブルに対して迅速に対応できることも大きな強みです。
発生したクレーム内容やトラブル対応の進捗状況は随時オーナー様へご報告しており、実際に利用されている方からは「事態が深刻化することなくスムーズに解決してくれる」「進捗報告を頻繁にしてもらえるので安心感がある」などと評判です。その他、リーシングや入居者対応、建物メンテナンスも含めた幅広い管理業務をお任せいただけますので、まずはぜひお気軽にご相談ください。
管理会社の変更を検討している場合は、以下の記事もぜひご覧ください。
>>賃貸マンションの管理会社を変更する方法とトラブルを避ける注意点
まとめ
所有しているマンションやアパートで騒音トラブルが発生した際には、放置や不適切な対応によって退去者が出たり、物件の評判が下がったりすることのないように迅速かつ適切に対応する必要があります。とはいえ騒音かどうかの線引きや騒音元の特定などが非常に難しいため、騒音トラブルの実績を豊富に持つ管理会社への業務委託がおすすめです。
トラブル対応を安心して任せられる業務委託先を見つけて、プロによる的確なサポートを頼りに円滑な賃貸経営を目指しましょう。