
はじめに
所有している賃貸マンションの修繕を行うにあたり、「具体的にどのくらいの費用がかかるのか」「多額の修繕費が発生してしまうのでは?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。修繕費の相場や修繕が発生するタイミングなどを事前にしっかりと確認しておくことで、より安定した賃貸経営を目指せます。
そこで、今回は賃貸マンションの修繕費の目安や修繕工事の適切な時期、さらには修繕に関する注意点について詳しくまとめました。修繕によって物件の価値を保ち、入居者に快適な住環境を提供するためのヒントをたくさんご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
LIXILリアルティの賃貸管理サービスでは、賃貸経営のエキスパートが各種修繕工事のサポートを行っております。サービスについての資料をご用意しておりますので、ぜひこちらからダウンロードください。
>>資料をダウンロードする
賃貸マンションの「修繕費」とは

賃貸マンションの修繕費とは、所有している建物または物件の維持・管理のために必要な修繕工事にかかる費用のことです。これには経年劣化による修理や、入居者の使用によって生じた損傷の修復などが含まれ、具体的には外壁の補修や防水工事、設備のメンテナンス、入退去時の原状回復など多岐にわたります。
賃貸マンションにおける修繕工事の種類
賃貸マンションにおける修繕工事は、主に以下の3種類に分類されます。
1.大規模修繕
大規模修繕とは、通常10年~15年ごとに行われる大規模な工事です。建物全体の寿命を延ばし、安全性や快適性を維持するために行われるもので、具体的には以下の修繕が該当します。
- 外壁の改修工事
- シーリングの補修や充填
- 屋根や屋上の防水工事
- 鉄部の塗装
- バルコニーや通路、廊下の補修工事 など
2.小規模修繕
小規模修繕とは、比較的小さな範囲で行われる修理や補修のことを指します。老朽化を防ぐ意味合いで行われることが多く、主に以下の工事が該当します。
- 耐震調査
- 外壁の部分的な補修
- 部分的な塗装
- 防犯カメラの設置
- 共用部の照明のLED化 など
3.原状回復
原状回復とは、借主の入れ替わり時に発生する修繕のことです。具体的には、借主が退去する際に物件を契約時の状態に戻すことを指し、以下のような修復工事が該当します。
- クロスの張替え
- 畳の交換
- 照明器具の撤去
- 床の傷の補修
- 設備(キッチンや浴槽など)の補修・交換 など
【築年数・間取り別】修繕のタイミングと費用相場

賃貸マンションの修繕のタイミングや費用は、物件の築年数や間取りなどによって異なります。ここでは国土交通省の『民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック』を参考に、建物ごとの定期修繕工事の時期や内容、費用の目安をご紹介します。
RC造20戸(1LDK~2DK)の場合
築年数 | 修繕内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
5~10年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 排水管(高圧洗浄等) |
戸あたり約9万円 (棟あたり約180万円) |
11~15年目 |
屋根・外壁(塗装) ベランダ・階段・廊下(塗装・防水) 給湯器等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄等) |
戸あたり約55万円 (棟あたり約1,100万円) |
16~20年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄等・交換) 外構等(修繕) |
戸あたり約23万円 (棟あたり約460万円) |
21~25年目 |
屋根・外壁(塗装・葺替) ベランダ・階段・廊下(塗装・防水) 浴室設備等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄) |
戸あたり約116万円 (棟あたり約2,320万円) |
26~30年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄等・交換) 外構等(修繕) |
戸あたり約23万円 (棟あたり約460万円) |
※30年目以降も修繕は発生
RC造10戸(1K)の場合
築年数 | 修繕内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
5~10年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 排水管(高圧洗浄等) |
戸あたり約7万円 (棟あたり約70万円) |
11~15年目 |
屋根・外壁(塗装) ベランダ・階段・廊下(塗装・防水) 給湯器等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄等) |
戸あたり約46万円 (棟あたり約460万円) |
16~20年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄等・交換) 外構等(修繕) |
戸あたり約18万円 (棟あたり約180万円) |
21~25年目 |
屋根・外壁(塗装・葺替) ベランダ・階段・廊下(塗装・防水) 浴室設備等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄) |
戸あたり約90万円 (棟あたり約900万円) |
26~30年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄等・交換) 外構等(修繕) |
戸あたり約18万円 (棟あたり約180万円) |
※30年目以降も修繕は発生
木造10戸(1LDK~2DK)の場合
築年数 | 修繕内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
5~10年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 排水管(高圧洗浄等) |
戸あたり約9万円 (棟あたり約90万円) |
11~15年目 |
屋根・外壁 (塗装) ベランダ・階段・廊下(塗装) 給湯器等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄等) |
戸あたり約64万円 (棟あたり約640万円) |
16~20年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄等・交換) 外構等(修繕) |
戸あたり約23万円 (棟あたり約230万円) |
21~25年目 |
屋根・外壁(塗装・葺替) ベランダ・階段・廊下(塗装・防水) 浴室設備等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄) |
戸あたり約98万円 (棟あたり約980万円) |
26~30年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄等・交換) 外構等(修繕) |
戸あたり約23万円 (棟あたり約230万円) |
※30年目以降も修繕は発生
木造10戸(1K)の場合
築年数 | 修繕内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
5~10年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 排水管(高圧洗浄等) |
戸あたり約7万円 (棟あたり約70万円) |
11~15年目 |
屋根・外壁 (塗装) ベランダ・階段・廊下(塗装) 給湯器等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄等) |
戸あたり約52万円 (棟あたり約520万円) |
16~20年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄等・交換) 外構等(修繕) |
戸あたり約18万円 (棟あたり約180万円) |
21~25年目 |
屋根・外壁(塗装・葺替) ベランダ・階段・廊下(塗装・防水) 浴室設備等(修理・交換) 排水管(高圧洗浄) |
戸あたり約80万円 (棟あたり約800万円) |
26~30年目 |
ベランダ・階段・廊下(塗装) 室内設備(修理) 給排水管(高圧洗浄等・交換) 外構等(修繕) |
戸あたり約18万円 (棟あたり約180万円) |
※30年目以降も修繕は発生
【修繕箇所別】賃貸マンションの修繕費内訳

賃貸マンションの修繕費は、修繕箇所や作業の内容によっても大きく異なります。以下に、主な修繕箇所別の修繕費の内訳をまとめました。
主な修繕箇所と作業内容 | 費用の目安 |
---|---|
外壁補修 | 1万円~3万円/㎡ |
シーリングの打ち替え ※古いコーキング(隙間や継ぎ目を埋める充填剤)を撤去し、新しいコーキング材を充填し打ち込むこと |
800円~1,200円/㎡ |
屋上の防水工事 | 4,000円~9,000円/㎡ |
タイル補修工事(ひび割れ補修・交換など) | 700円~1,000円/1箇所あたり |
共用部の照明LED化 | 50万円~100万円/1棟 |
耐震調査 | 1,000円~2,500円/㎡ |
賃貸マンションの修繕費の負担区分とトラブル対処法

賃貸マンションにおける修繕費の負担区分は、一般的に貸主(マンションオーナー)と借主(入居者)の間で明確に定められています。しかし、双方の認識にズレが生じているなどの理由で、貸主と借主の間でトラブルになるケースも少なくありません。
ここでは、修繕費の負担区分とそれに関するトラブル対処法について詳しく見ていきましょう。
貸主が負担する修繕費
まず、通常の使用による経年劣化や老朽化が原因で発生した修繕費用は、原則として貸主が負担します。また、外壁の塗装や共用部分の設備交換など、入居者全体が利用する部分の修繕費も貸主が負担することが一般的です。
借主が負担する修繕費
壁の穴や設備の破損といった借主の故意または過失による損傷のほか、壁の傷や消耗品の交換などの日常的な使用による軽微な修繕においては、借主が費用を負担するケースが多いです。また、入居者が退去する際の原状回復に関する費用も借主の負担となることが一般的です。
借主との間でよくあるトラブル事例
賃貸マンションの修繕費をめぐる借主とのトラブルとしては、以下のような事例があります。
- 原状回復費用やハウスクリーニング代を支払ってもらえない
- 明らかに故意的な傷に見えるが、「経年劣化だから修繕費は支払えない」と言われた
- 大規模修繕工事を計画したが、「工事が生活に支障をきたすため、工事期間中の家賃を支払わない」と言われた
このような修繕費に関するトラブルは「3人に1人の割合で発生する」とも言われており、なかには折り合いがつかずに訴訟へと発展するケースもみられます。
修繕費に関するトラブルを未然に防ぐための対処法
修繕費の負担区分に関するトラブルを防ぐためには、以下の対策を講じるとよいでしょう。
修繕費負担の基本的な考え方を契約書に明記する
賃貸契約書には、オーナー負担・借主負担の基本的な考え方はもちろん、具体的な修繕項目ごとの負担区分や経年劣化・通常損耗の定義についても詳細に記載することが大切です。どのような修繕が貸主の負担で、どのような場合に借主が負担するのかを明確かつ具体的に定めておくことで、後々のトラブルを効果的に回避できます。
入居前の状態を詳細に記録しておく
トラブルが発生した際に証拠として提示するため、入居前の物件の状態を詳細に記録しておくとよいでしょう。その際は、作成したチェックリストをもとに状態を確認し、借主と貸主それぞれが署名する方法が有効です。また、物件の状態を写真や動画で記録しておくこともトラブル防止につながります。
賃貸マンションの修繕費は経費計上できる?

賃貸マンションの修繕費について、「経費として計上できる?」と気になっている方もいるでしょう。修繕費の取り扱いに関してはルールが定められており、経費計上するためには以下の条件を満たす必要があります。
【支出額が20万円未満の場合】
修繕費として経費計上が可能
【支出額が20万円以上60万円未満の場合】
概ね3年以内の周期で行う修理や改良で、維持管理や原状回復が目的の場合は修繕費として認められ、経費計上が可能
【支出額が60万円以上の場合】
不動産の前事業年度終了時の取得価額の10%以下であれば修繕費として認められ、経費計上できる可能性がある
ただし、固定資産の価値を高めたり寿命を延ばしたりするような費用は「資本的支出」と呼ばれ、修繕費とは別に減価償却して毎年の経費としなければなりません。修繕費か資本的支出か判断が難しい場合もあるため、税理士などの専門家に相談しながら処理するとよいでしょう。
賃貸マンションで修繕を行うメリット

賃貸マンションの修繕にはまとまった費用がかかるものの、物件の価値を維持し、入居者の満足度を向上させるために非常に重要です。ここでは、修繕を行う具体的なメリットとその効果について見ていきましょう。
資産価値の維持・向上
定期的な修繕を行うことで建物の老朽化を防ぎ、資産価値を維持することが可能です。特に、外壁や屋根、共用部分の修繕は物件全体の印象を良くし、長期的に見て資産価値を高める効果を期待できます。
入居者の満足度向上
修繕を通じて、入居者に快適な居住空間を提供できる点も大きな魅力です。特に設備の更新や共用部分の美化は入居者の生活環境を改善し、満足度を高める要因となるでしょう。また、満足度が高い入居者は長期的に住み続ける傾向があり、空室率の低下にもつながります。
競争力の向上
賃貸マンション市場において競争が激化するなか、修繕を行うことで物件の魅力を高め、他の物件との差別化を図れることもメリットのひとつです。特に、外観や共用部分のリニューアルは入居者の目を引く要素となり、集客力の向上を期待できます。
安全性の確保
定期的な修繕には、建物や物件の安全性を確保できるメリットもあります。特に耐震性や防火性の強化を目的とした修繕は、入居者に安心感を与え、長期的な居住を促進します。
賃貸マンションの修繕に関する3つの注意点

賃貸マンションの修繕を行う際は、以下の3つの点に注意することが大切です。
1. 毎月コツコツと修繕費を積み立てておく
修繕にはまとまった費用がかかるため、資金を計画的に準備しておく必要があります。積立方法としては、普通預金や定期預金に毎月一定額を預けたり、生命保険や損害保険を活用した修繕積立サービを利用したりする方法が一般的です。
2. 定期的な点検と修繕を実施する
大きな不具合が生じてから修繕するのではなく、定期的な点検と修繕を実施することも重要なポイントです。必要に応じて小さな修繕を繰り返すことで大きな不具合の発生を防ぎ、長期的には費用を抑えられる可能性があります。
なお、定期的な点検は年に1回以上行うことが推奨されています。専門家による点検を受けることで、より詳細な診断が得られ、必要な修繕の範囲や優先順位を明確に把握できるでしょう。
3. 専門家に相談しながら修繕計画を立てる
賃貸マンションで修繕を行う際には、専門家に相談しながら進めることも大切です。管理会社や外部の専門家に修繕計画の策定や見直しを依頼することで、より効果的な対策を講じることができます。
管理会社の役割やメリットについては以下の記事でも解説しています。
>>賃貸管理とは?不動産管理会社の役割と利用のメリット・デメリット
マンション修繕に強い管理会社を利用するのも一手

賃貸マンションの修繕時期や内容をオーナー自身が見極め、適切な業者への手配を行うことには手間も時間もかかります。ぜひ信頼できる管理会社を利用し、サポートを得ながら修繕計画を立てるとよいでしょう。
もし「修繕に強い管理会社を利用したい」とお考えなら、ぜひLIXILリアルティの賃貸管理サービスを利用されてはいかがでしょうか。LIXILリアルティでは、LIXILのグループ会社として長年培ってきた賃貸経営ノウハウをベースに、物件の資産価値向上や入居率アップに向けた包括的な賃貸管理サービスをご提供しております。
特に手厚い管理体制に大きな強みがあり、専任スタッフが定期巡回を行って不具合箇所の早期発見や補修、経過観測を徹底しているほか、適切な修繕工事の提案力もおすすめポイントです。実際に利用されているオーナー様からは「丁寧にアドバイスや提案をしてくれて、仕上がりも綺麗」「安心して丸投げできる信頼関係を築けており、オーナーとして工事を監視する負担がないので非常に楽」など、満足のお声が多く集まっています。
賃貸マンションの修繕に関するお困りごとがある方からのご相談・ご質問等は随時受け付けておりますので、ぜひ以下のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
>>マンション賃貸管理について相談するまとめ
賃貸マンションの修繕費は、物件の築年数や間取り、修繕箇所などの要素によって大きく異なります。今回ご紹介した内容を参考に適切な修繕計画を立て、事前に修繕費を積み立てておくことで、いざ修繕時期が来たときに落ち着いて対応できるでしょう。
また、入居者とのトラブル防止に向けて修繕費の負担区分を明確にしておくことや、専門家に相談しながら計画を進めることなども重要です。これらのポイントを押さえて賃貸マンションの運営を円滑に進め、物件価値の維持や入居者の満足度向上を目指していきましょう。