
はじめに
空室対策の一環でリフォームを検討しているオーナーのなかには、「本当に効果ある?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。設備を新しくしたり、デザインを変えたりすることで入居率アップにつながる可能性はあるものの、リフォームには多額の費用がかかります。そのため、ただやみくもに行うのではなく、自身の物件に適した工事内容を慎重に検討したうえで実行に移すことが大切です。
そこで、今回はリフォームの基礎知識に触れながら、メリット・デメリットや賃貸物件の空室対策として有効なリフォームについて詳しくまとめました。また、空室対策リフォームに活用できる補助金制度や、成功のポイントも併せてご紹介します。
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そもそも「リフォーム」とは

リフォームとは住宅や建物の改善・修復を行うことで、一般的には老朽化した部分を新築時の状態に戻したり、機能を向上させたりするための工事のことを指します。また、リフォームには部分リフォームと全体リフォームの2タイプがあり、部分リフォームとしては以下のような作業が該当します。
- クロスの貼り替えやフローリングの張り替え
- 電気設備や水道設備の交換
- ドアや窓枠等建具の交換
- 外壁の塗り直し
- キッチンやバスルームの改装 など
リフォームとリノベーションの違い
リフォームとリノベーションは、どちらも建物の改修を指しますが、具体的な意味と内容は異なります。
まず、リフォームは前述のように老朽化した設備や内装を元の状態に戻すことを目的とした改修工事で、既存の住宅や建物の機能を維持しつつ、見た目や使い勝手を改善するために行われることが多いです。工事の規模としては比較的小さく、期間も数日~1か月未満とそれほど長くはかかりません。
一方、リノベーションは既存の建物に新たな価値や機能を付加することを目的とした大規模な改修を指し、間取りの変更や配管の移動などが該当します。住まいの機能や価値を大幅に向上させられる分、工事の規模は大きく、期間も長くかかるケースが一般的です。
このように、リフォームは「元に戻す」、リノベーションは「新たな価値を創る」という考え方が基本であり、どちらを選択するかは物件の状態や居住者のニーズに応じて決めることをおすすめします。
空室対策としてリフォームを行うメリット

リフォームは空室対策として効果的な手段であり、主に以下のようなメリットがあります。
1. 競合物件との差別化を図れる
入居者は快適で機能的な住環境を求めるため、リフォームによって設備や内装のクオリティを向上させると競合物件との差別化を図れます。特に、最新の設備やデザイン性の高い内装を導入すると入居者の心を掴みやすく、空室対策として非常に効果的です。
2. 物件の資産価値が向上する
リフォームによって老朽化した設備や内装を一新できれば、物件の資産価値も上がり、不動産市場における価格を維持・向上させることができます。特に、キッチン・浴室といった水回りの改修やクロス・床の張り替え、耐震・断熱性能の向上などのリフォームは、資産価値を高める手段として大変有効です。
3. 家賃の値上げを実現しやすい
リフォームにかかる初期投資はあるものの、魅力的な物件に生まれ変わることで、家賃の値上げを実現しやすい点もメリットのひとつです。これにより、リフォームにかけたコストをスムーズに回収できる可能性が高まるだけでなく、長期的に見るとリフォーム前よりも多くの収益を得られる可能性があります。
空室対策としてリフォームを行うデメリット
空室対策としてリフォームを行うことには多くのメリットがあるものの、以下のようなデメリットも存在します。良い面だけでなく懸念点にも注目し、リフォームが得策かどうか慎重に判断しましょう。
1. 経済的負担が増す
まず注意したい点が、リフォームによる経済的負担の増加です。リフォーム内容によっては多額の費用がかかり、リフォーム費用を回収できるまでに長期的な負担が生じる可能性があります。
2. 工事期間中は家賃収入を得られない
リフォームの実施中は物件を使用できないため、収入が得られない期間が発生します。特に工事期間が数か月に及ぶような広範囲にわたるリフォームの場合は、経済的なダメージが大きくなる点に注意が必要です。
管理会社の選び方については以下の記事でも解説しています。
>>管理会社の選び方ポイント5選
賃貸物件の空室対策に有効なリフォームとその費用

賃貸物件の空室対策として有効なリフォームには、内装の変更や設備の交換などが挙げられます。具体的なリフォームの種類とその費用相場について、以下で詳しく見ていきましょう。
内装リフォーム
クロスの貼り替えやフローリングの変更といった内装リフォームを行うと、新築のように魅力的な空間を演出でき、入居者を効果的に引きつけられます。費用相場は以下の通りで、工期はクロスなら1~2日程度、床の場合は2~3日程度が目安です。
・リビング内装リフォーム(クロス・床)の費用相場/6畳の場合
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
クロスの貼り替え(スタンダードクロス) | 3~5万円 |
クロスの貼り替え(ハイグレードクロス) | 4.4~7万円 |
複合フローリングへの張り替え | 9~18万円 |
複合フローリングの重ね張り | 6~14万円 |
無垢フローリングへの張り替え | 12~22万円 |
無垢フローリングの重ね張り | 9~18万円 |
水回りの改善
キッチンや浴室といった水回りのリフォームも空室対策として効果的で、清潔感を重視したり、最新の設備を導入したりすることで物件の魅力が高まります。それぞれ以下のような費用がかかり、工期はトイレリフォーム・洗面所リフォームであれば半日~2日間ほど、キッチンリフォーム・浴室リフォームの場合はそれぞれ2~20日ほどです。
・キッチンリフォームの費用相場
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
キッチンの入れ替え(標準~中級グレード) | 100~200万円 |
キッチンの入れ替え(中~高級グレード) | 200万円~ |
・浴室リフォームの費用相場
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
システムバスの単純な入れ替え | 100万円未満 |
|
100~200万円 |
|
200万円~ |
・トイレリフォームの費用相場
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
内装リフォーム | 3.5~10.5万円 |
便器交換(洋式から洋式) | 3~21万円 |
トイレ全体のリフォーム(内装リフォーム+便器交換) | 14~32万円 |
・洗面台リフォームの費用相場
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
洗面台の交換 | 20万円前後 |
間口の拡大を伴うリフォームや、6面鏡などの巨大な洗面台への交換 | 50万円前後 |
防犯リフォーム
防犯リフォームによってセキュリティ面を強化し、住みやすさや安心感を向上させる空室対策もおすすめです。費用相場は以下の通りで、どのリフォームも半日~1日ほどで完了します。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
防犯ガラスへの交換 | 1か所あたり5~15万円 |
防犯性の高いドアへの交換 |
【防犯機能に加え、断熱性能や通風機能が付いたドアの場合】
【防犯機能に加え、高断熱性能や防火機能が付いたドアの場合】 |
防犯性の高い鍵への交換 | 1~5万円 |
空室対策リフォームに活用できる補助金について
ここまでご紹介したように、空室対策としてリフォームを行う場合はまとまった資金が必要ですが、リフォーム内容によっては補助金制度を活用できる可能性があります。補助金はリフォーム代金を支払った後に交付されるため、リフォーム実施前の自己資金の準備は必要ではあるものの、融資とは違って返済の必要がない点が大きなメリットです。
ここでは、空室対策リフォームに活用できる補助金制度を2つご紹介します。
1. 子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、住宅の省エネ性能の向上や子育て環境の改善を目的とした支援事業で、「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「賃貸住宅の新築」「リフォーム」の4つのケースにおいて補助金制度が設けられています。リフォームの場合の利用要件と補助金額は以下の通りです。
【対象者】
子育てグリーン住宅支援事業を利用するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- グリーン住宅支援事業者(住宅省エネ2025キャンペーンの住宅省エネ支援事業者に登録している事業者)と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする方
- リフォームする住宅の所有者等であること
【対象住宅】
建築から1年が経過した住宅、または過去に人が居住したことがある住宅
【対象となるリフォーム工事】
リフォームにおいては以下の3つの必須工事が定められており、これらの工事のうち最低2つを実施することで補助金が提供されます。
- 開口部の断熱改修(窓やドアなどを断熱性能のある製品に交換する工事)
- 躯体の断熱改修(住宅の外壁や屋根、天井、床等の躯体部分に断熱材を追加または交換し、一定以上の断熱性能を確保する工事)
- エコ住宅設備の設置(高効率の給湯器や太陽熱利用システム、節水型トイレなど、省エネ性の高い設備の導入)
【補助金額】
補助金額は実施する工事の内容によって異なり、上限額は以下の通りです。
- Sタイプ:必須工事3つをすべて実施する場合、上限60万円/戸
- Aタイプ:必須工事のうち2つを実施する場合、上限40万円/戸
さらに、「防災性向上改修」や「バリアフリー改修」といった任意工事を併せて行う場合は、これらについても別途補助が受けられる可能性があります。
【申請期間】
リフォーム工事は2024年11月22日以降に着工したものが対象で、交付申請は予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)となっています。ただし、交付申請の予約は遅くとも2025年11月14日までです。
上記の補助金制度の詳細は「 子育てグリーン住宅支援事業 」の公式サイトをご確認ください
2. 先進的窓リノベ2025事業
先進的窓リノベ2025事業は、省エネルギー住宅の促進を目的とした支援事業で、既存住宅の窓やドアの断熱性能を向上させるリフォーム工事に対して補助金が支給されます。具体的な概要は以下の通りです。
【対象者】
先進的窓リノベ2025事業を利用するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 窓リノベ事業者(住宅省エネ2025キャンペーンの住宅省エネ支援事業者に登録している事業者)と工事請負契約を締結し、窓のリフォーム工事をすること
- 窓のリフォーム工事をする住宅の所有者等であること
【対象住宅】
建築から1年が経過した住宅、または過去に人が居住したことがある住宅
【対象となるリフォーム工事】
補助の対象になるのは窓とドアのリフォームのみで、具体的には窓のガラス交換や内窓の設置、外窓の交換(カバー工法/はつり工法)、ドアの交換が該当します。ただし、窓とドアの改修が同時に行われる場合にのみ、ドアも補助の対象となる点に注意が必要です。
【補助金額】
対象製品の種類や性能、建物の建て方に応じて補助額が決まり、補助額の上限は1戸あたり最大200万円です。
【申請期間】
リフォーム工事は2024年11月22日以降に着工したものが対象で、交付申請は予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)となっています。
上記補助金制度の詳細は「 先進的窓リノベ2025事業 」の公式サイトをご確認ください
空室対策リフォームを成功させる4つのポイント

空室対策リフォームを成功させるためには、戦略的な計画と準備が重要です。以下の4つのポイントを押さえることで、入居希望者にとって魅力的な物件へと改善できるでしょう。
1. 市場調査を入念に行う
まずは、自分の物件がある地域の市場調査を行い、周辺の賃貸物件との競争状況や入居者のニーズを把握することが大切です。市場の動向については不動産ポータルサイトを活用し、周辺エリアの家賃相場や空室率、導入されている設備・デザインなどを確認するとよいでしょう。
また、入居者のニーズに関しては、不動産管理会社や仲介業者にヒアリングをしたり、過去の内覧者や入居者にアンケートを実施したりといった方法がおすすめです。
2. 入居者のニーズに合ったリフォームを行う
上記1の市場調査結果を踏まえて、ターゲットとなる入居者層のニーズに合ったリフォームを行うことが入居促進につながります。たとえば、一人暮らしの学生・社会人向けなら高速インターネット環境や宅配ボックス、ファミリー向けなら防音設備やバリアフリー仕様、女性向けなら防犯設備や機能性の高いキッチンなどが人気です。
3. コストと効果のバランスを考慮する
リフォームにかけるコストと、それによって得られる家賃収入のバランスを考慮することも重要です。費用対効果をしっかりと分析し、無理のない範囲でリフォーム計画を立てることが成功の鍵となるでしょう。
4. 信頼できる業者を選ぶ
信頼できるリフォーム業者に依頼することも、空室対策リフォームを成功させる秘訣です。リフォームを得意とする実績ある業者を選ぶことで、プロの視点からの有用なアドバイスを受けられ、賃貸市場の動向やターゲットとなる入居者層のニーズにマッチした効果的なリフォームを実現しやすくなります。
効果的な空室対策リフォームを目指すなら
ここまで解説した通り、空室対策としてリフォームは効果的な半面、注意したいデメリットもあります。また、入念な市場調査やニーズの把握など事前準備に手間がかかるため、無理にオーナー自身で行わず、管理会社など賃貸経営のプロに相談しながら進めるほうが成果につながりやすいでしょう。
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リフォームは効果的な空室対策のひとつで、競合物件との差別化によって入居率アップを目指せたり、物件の魅力が向上して資産価値が高まったりといったメリットがあります。ただし、リフォームにあたってはまとまった資金を準備する必要があるほか、長期にわたる工事は大幅な収入減を引き起こすため、リフォームの内容とタイミングについて入念に検討したうえで実行することが大切です。
管理会社などの賃貸経営のプロに相談しながら進めることで、物件に合った効果的なリフォームを実現しやすくなるでしょう。ぜひ今回ご紹介した内容を参考にしながら空室対策リフォームを行い、空室改善や入居率向上による収益アップを目指してみてください。