経営破綻・経営悪化・倒産の文字、人の模型、電卓、ペン

はじめに

管理会社に物件管理を委託しているマンションオーナーのなかには、「もし管理会社が倒産したらどうすればいい?」と不安を感じている方もいるかもしれません。

突然の経営破綻によって管理業務の停止などの問題が発生すると、オーナーはもちろん入居者にも大きな影響があります。万が一の事態にも冷静に対応できるよう、事前に適切な知識を身につけておくことが大切です。

そこで、今回は賃貸経営のパートナーである管理会社が倒産するリスクの高さや倒産前に多く見られる兆候、倒産した場合にオーナー・入居者それぞれが受ける被害についてまとめました。さらには、倒産後にオーナーが行うべきことや事前に講じたい対策、倒産リスクの低い会社を見分ける方法も詳しくご紹介します。

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管理会社が倒産するリスクは高い?

考え事をしている女性

一般的に、賃貸管理会社の倒産リスクは低いとされています。その主な理由は、管理会社の収益源である管理委託費が毎月固定であり、収入の変動が少ないストック型ビジネスであるためです。

しかし、親会社の経営悪化や業界の競争激化、不正経営などの要因によって著しい経営難に陥るケースもあり、倒産する可能性はゼロではありません。万が一の事態に備え、しっかりとリスク対策を講じることは物件オーナーにとって重要な責務といえます。

管理会社が倒産する前に見られる兆候とは

倒れそうな会社を支えるビジネスマン

管理会社が倒産する前にはいくつかの「兆候」があり、主に以下のような変化がみられる場合は注意が必要です。

顧客対応の悪化

管理会社が倒産する前の兆候のひとつが、顧客対応の悪化です。経営が厳しくなると社員の士気が低下しやすく、顧客サービスにも以下のような影響が出る可能性があります。

  • 顧客からの電話やメールに対する応答が遅れる
  • 電話がつながりにくくなる
  • クレーム対応が雑になる
  • 共用部分の清掃やメンテナンスが行き届かなくなる

特に、上記の兆候が複数同時に現れている場合は「倒産の前触れかもしれない」と危機感を持ち、速やかに対策を講じる必要があるでしょう。

事業規模の縮小

事業規模の縮小も、管理会社が倒産する前の兆候として注意するとよいでしょう。たとえば管理物件数の減少や新規契約の停止、支店・営業所の閉鎖、本社の移転(狭いオフィスへの移転)などがみられる場合、会社の収益が低下し、経営が厳しくなっている可能性を示しています。

従業員の離職

経営不安によって従業員の離職率が高まることも、管理会社が倒産する兆候のひとつとされています。特に、経験豊富なスタッフや管理職が次々と退職する場合、会社の経営状況が悪化している可能性が高いです。

家賃送金の遅延

オーナーに対する家賃送金が遅れる場合は、管理会社の財務問題が深刻化している重要なサインです。通常、管理会社は入居者から家賃を回収し、オーナーへ送金する役割を担っていますが、資金繰りが悪化すると回収した家賃を他の債務の返済や運営費用に充ててしまい、オーナーへの送金が滞ることがあります。

遅延は数日程度から始まり、次に1か月、さらには2か月など段階的に長くなることが一般的です。家賃送金の遅れが常習化するとオーナー側に深刻な影響を及ぼす恐れがあるため、振込が途絶えた場合は早急に管理会社へ確認するとともに、倒産を見据えた対策を講じるとよいでしょう。

管理会社が倒産した場合に受ける影響について

デメリットの文字を指さす人形

管理会社が倒産すると、オーナーだけでなく入居者にもさまざまな影響が及びます。それぞれにどのようなデメリットがあるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

オーナーが受ける影響

まず、管理会社が倒産した場合にオーナーが受ける主な影響としては以下の4点が挙げられます。

1. 家賃が送金されない

先述の通り、管理会社にはオーナーの代わりに家賃を回収し、オーナーへ送金する役割があります。そのため、管理会社が倒産すると、入居者から既に回収済みの家賃が送金されない事態に陥る可能性があります。

入居者はきちんと家賃を支払っていることから、未回収とはいえ入居者に対して家賃を再請求することはできません。つまり、オーナーは回収する予定だった収入を失うことになり、経済的に大きな痛手となります。

特に、ローンを組んで賃貸経営をしている場合、家賃収入が途絶えることで返済が滞る可能性がある点に注意が必要です。最悪の場合、物件の売却を余儀なくされることもあるでしょう。

2. 入居者に家賃の振込先変更の連絡ができない

通常、管理会社が家賃の回収を代行しているため、もし倒産してしまった場合は入居者に対して速やかに振込先変更を通知する必要があります。しかし、管理会社のみが入居者の情報を管理しており、倒産した管理会社と連絡がつかない場合は入居者の連絡先がわからず、家賃の振込先変更の連絡ができない事態に陥るでしょう。

この問題を放置すると、入居者が倒産した管理会社に家賃を振り込み続けてしまい、家賃収入を失うリスクが高まることに注意が必要です。

3. 入居者の契約内容が不明瞭になる

管理会社が入居者の契約書を保管しているケースが多いことから、契約内容の確認が難しくなるリスクがある点にも注意が必要です。契約条件や特約などの詳細が不明となれば、家賃の支払い状況や契約更新の条件が確認できなくなり、トラブルの元になる可能性があります。

また、敷金についての取り決めが不明な場合、退去時の返還に関するトラブルが生じやすくなるでしょう。

4. 保証会社の保証契約が切れるリスクがある

家賃保証会社との契約が消滅することも、管理会社の倒産によってオーナーが受ける影響のひとつです。通常、保証会社は管理会社と提携して家賃保証サービスを提供しているため、管理会社が倒産した場合は基本的に保証会社との契約も終了してしまう傾向があります。

保証契約が切れると、オーナーは家賃滞納リスクを直接負わなければなりません。また、入居者に対して新たな保証会社との契約を求めるなど、保証会社の変更に伴うさまざまな対応が必要です。

入居者が受ける影響

管理会社の倒産は、入居者に対しても以下の2点のような深刻な影響を与えます。

1. 敷金が返還されない

管理会社に業務委託を行っている場合、入居者が物件契約時に支払う敷金はオーナーではなく管理会社が預かるケースが一般的です。敷金は家賃の滞納や退去時の原状回復費用を担保することを目的としたお金であり、通常は退去時に清算され、残金は入居者に返還されます。

しかし、管理会社が倒産すると、その敷金が適切に管理されていない場合は入居者に返還されないリスクが非常に高いです。もし返還されない場合、入居者はオーナーに返還を求めることが多いですが、オーナー自身も管理会社の倒産による影響で大きな経済的損失を被っている場合はスムーズな対応が難しく、入居者とトラブルになる可能性があります。

2. 修繕やトラブル対応が滞る

管理会社が倒産すると、現在進行中の修繕・トラブル対応が滞る可能性があります。特に漏水や設備故障といった迅速な修繕が必要な状況下にある場合、対応の遅れによって入居者は不便を強いられることになるでしょう。

さらに、入居者同士のトラブルやクレーム対応に関しても管理会社の介入がされなくなるため、問題が放置されてストレスを感じる入居者も出てくるかもしれません。

管理会社が倒産した場合にオーナーが行うべきことは?

管理会社が倒産した際は、オーナーは速やかに新しい管理会社を探して契約する必要があります。管理会社なしの期間が長引くと、入居者が家賃を滞納した場合にオーナー自身で回収を行ったり、入居者同士のトラブルや設備故障に対して自ら対応する必要があったりと非常に手間がかかるためです。

また、入居者の家賃が管理会社によって送金されていない場合は家賃の請求を行い、回収が困難であれば法的措置を検討しなければなりません。それと同時に、入居者の敷金についても管理会社に対して返還を請求することが必要です。

さらに、管理会社が倒産したことを入居者に知らせ、次の管理会社が決まるまでの家賃振込先を提示することも忘れずに行いましょう。

管理会社の倒産による被害を防ぐ方法

HOW TOの文字と虫眼鏡

管理会社の倒産はオーナーや入居者にさまざまな影響を及ぼしますが、事前に適切な対策を講じることで被害を軽減することが可能です。ここでは、特に有効な予防策を3つご紹介します。

1. 倒産の兆候を察知して早めに対処する

管理会社の倒産による被害を防ぐためには、管理会社の対応や経営状況を常にチェックすることが大切です。そして、先述したような家賃の送金遅延や顧客対応の悪化、事業規模の縮小、従業員の離職増加などの兆候が見られたら、オーナーは管理会社の財務状況を細かく確認し、必要に応じて管理会社の切り替えを検討するとよいでしょう。

2. 倒産に関する契約内容を確認しておく

管理会社との契約書を確認し、倒産に関連する条項や責任範囲を理解しておくことも重要な対策です。特に家賃の未回収や管理業務の停止に関する項目をチェックし、万が一の際に法的に守られるかを把握しておくと安心できます。

3. 倒産リスクの低い管理会社を利用する

管理会社の倒産による被害を防ぐためには、あらかじめ管理会社の財務状況や対応品質をチェックし、倒産リスクの低い会社と契約することも大切です。もし現在利用している管理会社に不安や不満がある場合は、万が一に備えて早めの切り替えを検討するとよいでしょう。

なお、管理会社の変更にあたっては、まずは現在の管理会社との契約内容を確認して解約予告期間や違約金の有無を把握することが必要です。その後、新しい管理会社を選定し、現在の管理会社に対して正式な解約通知を行ったうえで新しい管理会社への移行準備を進めていきます。

管理会社の変更については以下の記事でも解説しています。
>>賃貸マンションの管理会社を変更する方法とトラブルを避ける注意点

倒産リスクの低い管理会社の特徴

超高層ビルの外観

一般的に「倒産リスクが低い」とされる管理会社には、以下のような共通点があります。ぜひ管理会社の安定性や信頼性を評価する際の参考にしてみてください。

大手企業やグループ会社に属している

倒産リスクの低い管理会社の特徴のひとつとして、大手企業やグループ会社に属していることが挙げられます。親会社が安定した経営基盤を持っている場合、その傘下にある管理会社は資金面での支援を受けやすく、経済状況や市場の変動に強い傾向があります。

また、グループ会社として複数の事業を展開している場合は収益源が分散されるため、経営の安定性が高いと判断することが可能です。

財務状況が健全

財務状況が健全であることも、倒産リスクの低い管理会社に共通している特徴です。財務が安定している会社は資金繰りの問題が少なく、経営の継続性が高い傾向にあります。

財務状況を確認する際には、決算書の自己資本比率や売上高の推移、流動比率などをチェックするとよいでしょう。なお、上場企業であればIR情報に注目することで、財務の健全性を把握しやすくなります。

管理物件数が多い

賃貸管理はストックビジネスであることから、管理物件数が多い管理会社は安定した収益を確保しやすく、経営の継続性が高い傾向にあります。仮に特定の物件で損失が出たとしても全体の収益に与える影響が少ないほか、経済的なショックや市場の変動に対して耐性が強く、倒産リスクを抑えやすい印象です。

顧客満足度が高い

管理会社の倒産リスクを評価するにあたり、顧客満足度の高さに注目するのもひとつの方法です。特に、長期間契約している顧客が多い会社は「安定した財務基盤を持っている」と判断できます。

「お客様の声」として管理会社のホームページに掲載されている口コミ・評判も参考になりますが、外部の評価サイトなどでも併せて情報収集を行うとよいでしょう。

管理会社の選び方については以下の記事でも解説しています。
>>管理会社の選び方ポイント5選

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まとめ

管理会社が倒産すると、オーナーと入居者の両者が大きな被害を受けます。特に、オーナーは管理会社が預かっている家賃を回収できなくなったり、契約内容に関して入居者とトラブルになったりする恐れがあるため注意が必要です。

もし「管理会社と連絡をとりづらくなった」「家賃送金が遅れている」などの兆候がみられたら、管理会社の財務状況等を確認したうえで他社への切り替えを検討するとよいでしょう。その際は経営状態や管理実績、顧客満足度などをチェックし、倒産リスクの低い管理会社と契約することが大切です。

ぜひ信頼できる管理会社とタッグを組み、長期的に安定した賃貸経営を目指しましょう。

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