電卓と矢印で値上げのイメージ

はじめに

管理会社から突然届いた値上げ通知に、大きなストレスを抱えているオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、理由が曖昧なまま金額だけが示されていたり、収支への影響が読めなかったりすると、「本当に受け入れて良いのか」「交渉すべきなのか」「管理会社を変えるべきなのか」と迷いが生じやすくなります。

とはいえ、値上げ通知は賃貸経営を見直す絶好のタイミングでもあります。内容を正しく理解し、冷静に判断することで、むしろ物件の収益性や管理品質を高めるきっかけにすることができます。

本記事では、管理委託費・管理手数料の基本構造と相場感に触れながら、値上げが行われる背景、妥当性を見極めるための判断軸、オーナーが取れる5つの選択肢、そして家賃値上げを検討する際の注意点を詳しくまとめました。値上げ通知への対応にお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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まず押さえておきたい管理委託費・管理手数料の基本知識

マンションの外観

管理会社から値上げ通知が届いたとき、まず確認しておきたいのが「管理委託費・管理手数料の仕組みと相場感」です。費用の構造を理解しておくことで、値上げ内容が妥当かどうかを冷静に判断できるようになります。

管理委託費・管理手数料の基本構造

賃貸管理にかかる費用は、次の2種類に分かれます。

・毎月支払う費用(管理委託費・管理手数料)
家賃集金・送金、入居者からの問い合わせ対応、クレームやトラブル対応、滞納督促、更新・退去時の事務手続きなど、日常的な管理業務が含まれます。

・発生の都度支払う別途費用
退去後の原状回復費用、室内設備の修繕・交換費用、定期清掃や設備点検費用などが代表的です。

管理会社によって「どこまでが管理委託費に含まれるか」は異なるため、まずは契約書や管理会社のパンフレットを確認し、費用区分を一覧化しておくことが大切です。値上げ通知が届いた際にも、どの業務が対象なのか比較しやすくなります。

管理委託費・管理手数料の相場感

一般的な賃貸管理委託費の相場は「家賃収入の約5%前後」が目安です。たとえば家賃10万円の物件であれば、管理委託費5%の場合は月5,000円程度が管理手数料のイメージになります。

管理委託費・管理手数料の基礎知識や相場については以下の記事でも解説しています。
>>賃貸物件の管理手数料とは?相場と管理会社を選ぶときの注意点

管理委託費・管理手数料が値上げされる主な理由

虫眼鏡を持つ手元とwhy?の文字

管理委託費・管理手数料の改定にはいくつかの共通要因があり、その背景を理解しておくことも妥当性の判断に大きく役立ちます。代表的な理由は以下の通りです。

人件費の上昇

管理会社が値上げを提案する際、最も多く挙げられる理由が人件費の上昇です。

厚生労働省の発表によれば、最低賃金は全国的に毎年引き上げられており、2025年度には全国平均で1,100円を突破しています。人件費の上昇は管理会社の経営に直接影響するため、管理委託費の見直しにつながりやすい要因です。
参考:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金の全国一覧」

さらに、賃貸管理業界では深刻な人手不足が続いており、従来以上のコストをかけて人材確保を行う必要があります。採用活動の強化や教育体制の整備など、管理品質を維持するためのコスト増加も値上げ理由として挙げられます。

物価・エネルギー価格の高騰

人件費だけでなく、物価やエネルギー価格の上昇も管理委託費の値上げ理由として大きな影響を与えています。

清掃用具や消耗品、契約更新通知の郵送費、入居者対応で使用する備品など、管理業務に必要な物品の価格が軒並み上昇しています。また、共用部の電気代や設備稼働に必要なエネルギーコストも増加しており、エレベーター・給水ポンプ・消防設備・監視カメラなど、マンションの安全性や利便性を支える設備の維持管理費が上昇しています。

さらに、建物のメンテナンスに使用される資材費も上昇しているため、修繕費や維持管理費が増え、管理会社が追加コストを吸収することが難しくなっている状況です。

管理業務メニューの追加・サービス品質向上

近年は、物件ごとの業務量に応じて管理業務メニューの見直しを行い、価格改定を提案するケースも増えています。特に、トラブルが多い物件や老朽化が進んでいる物件、入居者対応の頻度が高い物件では、管理会社の負担が増えるため、業務量に応じた費用改定が行われやすくなります。

また、24時間対応サービスの導入や、入居者アプリの提供など、サービス品質向上のための追加コストが発生する場合もあり、これらが値上げ理由として提示されることがあります。

値上げが妥当かどうかを見極める4つの判断軸

POINTの文字と緑の黒板

管理会社から値上げ通知を受け取った際に最も重要なのは、感情的に反応するのではなく、「その値上げが妥当かどうか」を冷静に判断することです。

ここでは、オーナーが必ず確認しておきたい4つの判断軸を整理し、値上げ通知の内容を客観的に見極めるためのポイントを解説します。

1. 値上げ理由の具体性

値上げ通知に記載された理由がどれほど具体的に説明されているかは、最初に確認すべき重要なポイントです。管理会社が「社会情勢の変化に伴い」「物価高騰のため」といった抽象的な表現しかしていない場合、オーナーとしては納得しづらいものです。

一方で、「24時間対応サービスの導入」「滞納督促を外部専門会社へ委託」「管理システム刷新による事務コスト増」など、具体的にどの業務コストが増え、どのサービスが追加されるのかが明示されている場合は、値上げの妥当性が高いと判断できます。

2. 契約ルールとの整合性

値上げ通知が契約書のルールに沿って行われているかどうかも、妥当性を判断するうえで欠かせません。

多くの賃貸管理委託契約書には、「委託費改定(値上げ)に関する条項」「手数料変更時の手続き」「事前通知期間」などが明記されています。通知が契約書で定められた期間より極端に短い、合意が必要なのに一方的に改定を告げている、契約更新時以外のタイミングで突然値上げを求めているなど、契約ルールに反している場合はオーナー側に異議を唱える余地があります。

3. 現在の業務履行状況

値上げの前には、管理会社が契約通りの業務を適切に履行しているかも確認することが大切です。たとえば、契約上は「週5回の清掃」となっているのに実際には頻度が守られていない、管理員が不在がちで報告連絡が滞っている、点検や巡回の記録が曖昧、など、仕様書通りの業務が履行されていない場合は、値上げ以前に改善を求める必要があります。

4. 近隣相場

値上げ後の管理委託費が近隣相場と比べて妥当かどうかも、事前にしっかりと確認しておきましょう。同じ地域・同規模の物件で、一般的にどれくらいの管理手数料率が設定されているのかを調べることで、相場からの乖離度が見えてきます。

情報収集の方法としては、オーナー仲間へのヒアリングのほか、不動産オーナー向け掲示板や管理会社の比較サイト、統計データなどが参考になります。相場より極端に高い場合は、値上げ内容を再検討してもらう余地があります。

値上げ通知へのオーナーの対応は5択

指差しサインするビジネスマン

管理会社から値上げ通知が届いたとき、オーナーが取れる選択肢は大きく5つあります。どれが最適かは物件の状況・管理品質・オーナー自身の方針によって異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで判断することが大切です。

1. 承諾

値上げ理由が具体的で、管理会社が提示する根拠資料にも納得でき、現在の管理品質にも不満がない場合は、通知内容をそのまま受け入れるという選択肢があります。承諾する場合は、値上げ後の収支がどのように変化するかを確認しておきましょう。家賃収入に対して管理委託費がどの程度の割合になるのか、年間の収支にどれほど影響するのかを把握しておくことで、賃貸経営の見通しを立てやすくなります。

2. 継続交渉

値上げ理由は理解できるものの、提示された金額や値上げ幅に納得できない場合は、管理会社と交渉するという選択肢があります。交渉では、値上げ幅の縮小や段階的な値上げなど、双方が納得できる落としどころを探ることが現実的です。旧価格と新価格を費目別に比較できる積算内訳書や、人件費の根拠資料、再委託業者の見積書などを提示してもらうことで、値上げの妥当性をより正確に判断できます。

3. 業務見直し

管理会社の対応品質には満足しているものの、すべての業務を丸ごと委託する必要はないと感じる場合は、業務範囲の見直しを行うとよいでしょう。たとえば、募集活動や広告出稿は自分で行い、家賃集金や滞納督促、設備トラブル対応など負担の大きい部分だけを管理会社に任せるという方法もあります。業務を切り分けることで、管理委託費を抑えつつ、必要な部分だけプロのサポートを受けることができます。

4. 管理会社変更

値上げ理由が不十分であったり、現在の管理品質に不満があったり、他社の提案が明らかに魅力的であったりする場合は、管理会社のリプレイスを検討するタイミングかもしれません。管理会社変更には契約書の解約条件の確認、新しい管理会社の選定、入居者への案内、引き継ぎ業務など一定の手間と時間が必要ですが、長期的な賃貸経営の安定を考えると有効な選択肢です。

管理会社の変更については以下の記事でも解説しています。
>>マンション管理会社の「リプレイス」とは?変更手順やトラブル回避策をご紹介

管理会社の選び方については以下の記事でも解説しています。
>>管理会社の選び方ポイント5選

5. 自主管理への移行

管理会社から値上げ通知を受けたタイミングで、自主管理へ移行するという選択肢もあります。ただし、管理委託費を大幅に削減できる一方で、家賃入金管理、滞納督促、クレーム対応、修繕手配、退去立会いなど、日常的な管理業務をすべて自分で行う必要があります。時間的な余裕や法的知識、入居者対応の経験などが求められるため、どこまで自分で対応できるかを冷静に判断することが大切です。

自主管理については以下の記事でも解説しています。
>>自主管理の賃貸経営における10大トラブルと解決策

値上がり分を「家賃の値上げ」で対処したい場合の注意点

注意喚起のイメージ

管理委託費の値上げによって収支が圧迫されると、「家賃を上げて補填できないか」と考える方もいるでしょう。しかし、家賃値上げは入居者との関係に直結する繊細なテーマであり、慎重な進め方が求められます。

ここでは、家賃値上げを検討する際に押さえておきたいポイントを解説します。

まずは「適正賃料」を確認

家賃値上げを検討する際、最初に確認すべきは適正賃料です。現在の賃料が近隣相場と比べて高いのか低いのかを把握しないまま値上げを進めると、入居者の反発や退去につながる可能性があります。

周辺の同種・同規模物件の賃料、最近の成約事例、賃料推移、設備や築年数などを踏まえて、現在の賃料が相場より低いのか、すでに相場並みなのかを確認することが欠かせません。相場より低い水準で運用している場合は適正化によって収支改善につながる可能性がありますが、相場並みの賃料であれば値上げは慎重に判断する必要があります。

家賃値上げ時の入居者への説明と時期について

家賃値上げは、伝えるタイミングと説明内容が非常に重要です。一般的には更新日の2〜3か月前、できれば3〜6か月前に書面で通知するのが望ましく、入居者に十分な検討期間を与えることができます。

通知書には値上げの理由、値上げ額、実施日、近隣相場や固定資産税などの正当事由を添えて、誤解のないよう丁寧に説明することが求められます。また、値上げによってどのような改善が行われるのかを伝えることも効果的です。共用部の清掃強化や問い合わせ対応時間の拡張など、入居者にとってメリットがある内容を提示できれば、合意形成が進みやすくなります。

入居者から拒否された場合の対応方法

入居者が家賃値上げに納得しない場合は、しっかりと話し合いの場を設けることが重要です。値上げの根拠資料を示しながら、段階的な値上げや設備改善とのセット提案など、入居者にもメリットがある条件を提示することで合意に至る可能性が高まります。

それでも合意できない場合は、値上げ額の引き下げや値上げ時期の調整などを検討する必要があります。家賃値上げは丁寧な説明と誠実な対応が最終的な結果を左右するため、管理会社と連携しながら双方が納得できる落としどころを探る姿勢が大切です。

管理会社への交渉時に押さえておきたいこと

ノートに書かれた要注意!の文字

ここからは、値上げ交渉を進める際に押さえておきたい注意点をご紹介します。

感情的に値上げ拒否をしない

値上げ通知を受け取った瞬間は、「なぜ今なのか」「この金額は妥当なのか」といった疑問や不満が湧きやすく、つい感情的に拒否したくなることがあります。しかし、感情的な拒否は管理会社との関係を悪化させるだけでなく、冷静な判断材料を集める機会を失うことにもつながります。

まずは通知内容を落ち着いて読み込み、値上げ理由の具体性や契約ルールとの整合性、業務履行状況、近隣相場などを確認し、事実に基づいた質問や確認を行うことが大切です。感情ではなく根拠をもとに対話することで、管理会社側も誠実に説明しやすくなり、交渉の土台が整います。

やみくもに相見積もり依頼をしない

値上げ通知を受けると、「他社ならもっと安くできるのでは」と考え、すぐに複数の管理会社へ相見積もりを依頼したくなることがあります。しかし、目的や比較軸が整理されていない状態で相見積もりを乱発すると、かえって判断が難しくなり、管理会社選びが迷走する可能性があります。

管理委託費は単なる金額だけで比較するものではなく、手数料に含まれる業務範囲、別途費用の有無、対応品質、入居者満足度、トラブル対応のスピードなど、総合的なサービス内容を比較しなければコストパフォーマンスは見えてきません。まずは自分の物件の課題や求める管理品質を整理し、重視するポイントを決めてから候補を絞るほうが、満足度の高いリプレイスにつながります。

管理会社のリプレイスを検討している方へ

東京晴海タワーマンション群

管理会社のリプレイスは、マンションの資産価値や入居者の住み心地に直結する大きな決断です。だからこそ、信頼できるパートナーを選ぶことがリプレイス成功の最も重要なポイントになります。

LIXILリアルティの賃貸管理サービスでは、賃貸経営の専門家がオーナー様の収益最大化を支援し、入居者対応・設備管理・トラブル対応など、日常の管理業務を高品質にサポートします。管理会社の変更を検討している方や、現在の管理品質に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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まとめ

管理会社から値上げ通知が届いた際にまず確認したいのは、値上げ理由の具体性、契約ルールとの整合性、現在の業務履行状況、そして近隣相場の4点です。これらの判断軸をもとに妥当性を見極めることで、感情的な反応ではなく、合理的な判断がしやすくなります。

対応方法には、承諾・交渉・業務内容の見直し・管理会社の変更・自主管理への移行の5つがあり、どれが最適かは物件の状況やオーナー自身の経営方針によって異なります。また、家賃値上げで補填を図る場合は、適正賃料の確認や入居者への丁寧な説明が欠かせません。

値上げ通知は、賃貸経営を見直すきっかけにもなります。管理品質の改善や収支の最適化につながる可能性もあるため、冷静に情報を整理し、必要に応じて専門家の力も借りながら、長期的に安定した賃貸経営を目指していきましょう。