不動産物件と鍵

はじめに

「本業とは別で安定した収入源を得たい」「老後の生活資金確保に向けて、資産運用をしたい」などの理由で、不動産オーナーになることを検討している方もいるのではないでしょうか。

不動産オーナーには長期的な収入を期待できる、節税対策になるなどのさまざまなメリットがありますが、その一方で注意したいリスクもいくつかあります。まずはオーナーになることへの理解を深め、ご自身に適した資産運用法かどうかを慎重に検討することが大切です。

そこで、今回は不動産オーナーになる方法や向いている人・向いていない人の特徴、仕事内容といった基礎知識に触れながら、オーナーになるメリットやリスク、成功のポイントを詳しくまとめました。これから不動産の購入・所有を検討している方や、親族などから不動産を相続する予定がある方など、ぜひ参考にしてみてください。

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不動産オーナーとは

家のミニチュアとクエスチョンマーク

不動産オーナーとは、自身が所有するマンションやアパートなどの不動産を第三者に貸し出し、家賃収入を得る人のことを指します。一般的に大家さんとも呼ばれており、購入した土地、あるいはすでに所有している土地に建物を建てて賃貸経営をする方や、区分マンションなどの物件を購入して賃貸に出す方、相続などで物件を引き継いだ方などさまざまです。

まずは、不動産オーナーになるために必要な資格の有無や向いている人・向いていない人の特徴について押さえておきましょう。

必要な資格はあるのか

不動産オーナーになるために必要な資格はなく、不動産を所有していれば誰でも賃貸経営を行うことが可能です。とはいえ、長期的に安定した収益を得るためには不動産投資や賃貸関連の法律に関する知識、賃貸経営ノウハウなどが求められるため、ある程度の情報収集を事前に行っておくとよいでしょう。

また、賃貸経営に役立つ資格を取得するのもおすすめです。たとえば以下のような資格が挙げられます。

  • マンション管理士:賃貸管理に関する知識やトラブルの対処法などを学べる
  • ファイナンシャルプランナー:資産運用や不動産、税金、収支計画などの知識を幅広く習得できる
  • 宅地建物取引士:不動産にかかわる契約や法律の知識が身につく資格で、仲介会社を利用せずに不動産オーナー自身が賃貸経営を行う場合に役立つ
  • 住宅診断士:中古物件を売買する際に役立つ住宅診断について学べる

ちなみに、不動産投資は副業禁止の企業でも許可されやすいことから、不動産オーナーを副業として始めるケースも多くみられます。自分自身で賃貸経営を行う場合は専業でないと難しいことが多いですが、基本的な賃貸管理業務を管理会社へ業務委託することにより、本業に支障なく不動産経営を行うことが可能です。

不動産オーナーに向いている・向いていない人の特徴

不動産投資を検討するにあたり、「自分のライフスタイルや性格に向いている?」と気になっている方もいるかもしれません。ここでは、不動産オーナーに向いている人・向いていない人の主な特徴を「属性」と「性格」に分けてご紹介します。

不動産オーナーに向いている人

【属性】

  • 高収入の人
  • 勤続年数が長い人
  • 収入が安定している職業の人
  • 保有資産が多い人

これから土地や物件を購入して不動産投資を行う場合は、金融機関が提供する不動産投資ローンを利用することが多いです。上記の特徴に当てはまる人は金融機関の審査に通りやすく、不動産オーナーに向いているといえます。

【性格】

  • 勤勉な人
  • 真面目で几帳面な人
  • 決断力・行動力がある人
  • 長期的な視点で物事を考えられる人

先述のように、不動産オーナーとして成功するためには不動産投資や賃貸経営関連の知識・ノウハウが必要となるため、調べることが好きな人や知識の習得を怠らない勤勉な人が向いています。また、賃貸管理業務を行う際には細かな事務作業や物件チェック、トラブルへの迅速な対応が求められることから何事にも真面目に向き合える人が適しているほか、物件の購入やリフォーム、売却などのタイミングを見極める決断力や、目先の収益だけでなく長期的な視点で収支計画を立てるスキルも必要です。

不動産オーナーに向いていない人

【属性】

  • 年収が低い人
  • 信用情報に傷がある人

一般的に、年収が低い人は返済能力が低いと判断され、不動産投資ローンの審査に通らない可能性があります。また、過去にカードローンやマイカーローンなどで長期の延滞があった、あるいは債務整理があったなどで信用情報に傷がある場合も審査に通りづらいため、該当する方は不動産オーナーに向いていないと言えるでしょう。

【性格】

  • 行動力がない人
  • リスクを負いたくない人

不動産オーナーになると自ら決断して行動しなければならないため、行動力がないと長く続けることは難しいかもしれません。また、投資にはさまざまなリスクを伴うことから、絶対にリスクを負いたくないとお考えの方はオーナー業に向いていないでしょう。

不動産オーナーの仕事内容

打ち合わせの様子

不動産オーナーの仕事内容としては、主に以下の業務が挙げられます。

  • 入居者の募集
  • 家賃の回収や督促
  • 入居者からの問い合わせやトラブル対応
  • 退去の立会いや手続き
  • 物件や設備のメンテナンス・修繕

具体的にどのようなことを行うのか、以下で詳しく見ていきましょう。

入居者の募集

相続によって入居者のいる物件を引き継いだケースを除き、不動産を購入したらまず行う必要がある業務が入居者募集です。また、退去者が出た場合も速やかに募集業務を行い、空室期間がなるべく短くなるように尽力する必要があります。

具体的には、以下のような方法で入居者を募集します。

  • 賃貸情報サイト等に物件情報の掲載を依頼し、募集をかける
  • 近隣の不動産会社に物件情報を伝え、紹介してもらえるようにお願いする
  • チラシを作成し、近隣住宅にポスティングする
  • 現入居者に働きかけ、新たな入居者を紹介してもらう など

家賃の回収や督促

入居者からの家賃回収も不動産オーナーにとって重要な仕事です。集金方法は銀行振込が一般的で、入金日には銀行へ出向いて記帳、あるいはインターネットバンキング上で家賃が振り込まれているか確認し、滞納者がいる場合は適切な手順を踏んで支払いを催促します。

入居者からの問い合わせやトラブル対応

入居者からの各種問い合わせに応じたり、トラブルが発生した際に対処したりすることも不動産オーナーの役割です。迅速に対応しないと入居者の満足度が低下し、退去者が出て空室率が上がる恐れがある点に注意する必要があります。

退去の立会いや手続き

入居者から退去の申し出があった場合は、書面での契約解除手続きへの対応が必要となるほか、退去時に立ち会って室内に修繕が必要な箇所がないかチェックします。このとき、原状回復費用を入居者と不動産オーナーのどちらが負担するかで揉めるケースが多いため、契約内容や経年劣化の可能性も含めて慎重に判断することが大切です。

物件や設備のメンテナンス・修繕

区分ではなく一棟まるごと物件を所有している不動産オーナーの場合、共用部分の清掃や設備点検、外壁など建物全体のチェックを定期的に行う業務も発生します。また、適切な時期に修繕を行い、物件の魅力を維持・強化できるように努めることも重要な仕事です。

なお、これらの仕事は自主管理によって不動産オーナー自身が行うことも可能ですが、不動産管理会社などに外部委託をする方法もあります。自主管理であれば費用がかからず、物件や入居者の状況を自分で把握できることも魅力的ですが、手間がかかる点に注意が必要です。

一方、不動産管理会社に業務委託をする場合は管理委託費の支払いが発生するものの、オーナー自身の手間を省けるメリットがあります。特に緊急のトラブルやクレーム対応、家賃の督促、修繕工事の手配といった複雑かつ手間のかかる対応をプロに任せられることは非常に大きな魅力です。

管理会社による賃貸管理のサポートについては以下の記事で解説しています。
>>賃貸管理とは?不動産管理会社の役割と利用のメリット・デメリット

不動産オーナーになるメリット

メリットの文字ブロック

不動産オーナーには上記のような数多くの仕事があるほか、管理会社に委託する場合も最終的な決定権はオーナー自身にあるため、自分に務まるのかと不安を感じる方もいるでしょう。大変かつ責任の大きい業務ですが、その分、得られるメリットは以下の通りにたくさんあります。

不動産投資は実物資産になる

まず注目したいメリットが、不動産投資によって実物資産を得られることです。株や債券、仮想通貨などは発行元の破綻などによってその価値が消滅するリスクがありますが、不動産の場合は価値が下がることはあっても全く価値がなくなることは基本的にありません。

長期的な収入を期待できる

所有する不動産に入居があると、毎月一定額の家賃収入が発生します。空室が出ないように対策をしっかりと行って賃料を継続的に得ることができれば、長期的な収入が期待できることも大きな魅力です。

少ない自己資金からでも始められる

不動産投資ローンを組む際は購入予定の物件を担保にすることが可能となっており、少ない自己資金で不動産を購入し、賃貸経営を始められる点もメリットのひとつです。なお、金融機関から得た融資は月々の家賃収入から返済していくため、経営が軌道に乗れば自己資金をキープしたまま現物資産を増やしていくことができます。

相続税・贈与税の節税対策になる

相続税・贈与税の節税効果を期待できることも不動産オーナーならではの利点です。現金や預貯金、有価証券などは時価に対して課税されますが、不動産の場合は評価基準が異なり、同じ額の資産でも課税対象額は80%ほどになります。

また、投資用物件として第三者に賃貸している場合は評価額からさらに30%控除されるため、節税対策として非常に有効です。

不動産オーナーになる流れ

契約内容を説明をする様子

続いて、不動産オーナーになるまでの主な流れを押さえておきましょう。ここでは、投資用物件を購入してオーナーになるまでのステップをご紹介します。

1. 条件を決めて物件を探す

まずは購入したい物件の希望条件を決定し、物件探しを進めていきます。事前に決めておくべき条件は以下の通りです。

  • 目安となる物件価格
  • 立地
  • 築年数
  • 間取り
  • 設備

なお、物件探しはインターネット上で行う、または不動産仲介会社に直接出向いて相談するのが一般的です。

2. 現地調査を行う

希望条件に合う物件が見つかったら、不動産仲介会社に連絡を取って実際に物件を見学します。見学時には以下の点を確認し、物件の収益力について慎重に判断することが大切です。

  • 周辺環境(駅からのアクセスやコンビニ・スーパーの位置、治安、騒音など)
  • 建物のメンテナンス状態(外壁や雨樋、配管など)
  • 日当たり・窓からの景観
  • 共有部分の設備環境や管理状況

3. 買付申込書を提出し、ローンの事前審査を受ける

物件を決めたら、買付申込書を作成・提出して不動産仲介会社へ購入意思を示します。ちなみに買付申込書は契約書ではないためキャンセルは可能ですが、理由もなくキャンセルをすると信頼を損ねるため注意しましょう。

買付申込書の提出後、金融機関にて不動産投資ローンの事前審査に申込みます。事前審査とは、正式なローン審査の前段階として申請者の信用情報や返済能力などを簡易的に見極めるもので、必要書類は以下の通りです。

  • 本人確認書類(免許証やマイナンバーカードなど)
  • 収入証明書類(給与所得者:前年分の源泉徴収票/個人事業主:過去3年間分の確定申告書と付表の写し/法人代表者:前3期分の決算報告書の写し)
  • 物件情報資料(購入予定物件の販売図面や物件概要書など)
  • 他ローンの書類(他に組んでいるローンがある場合はその契約内容がわかる書類)

4. 売買契約を結ぶ

ローンの事前審査を通過し、売買交渉も成立したら物件の売買契約を締結します。売買契約時には宅地建物取引士から重要事項説明があるため、不明点のないようにひとつひとつの内容をよく確認したうえで契約書への署名・捺印を行いましょう。

そして、手付金を支払うと正式に契約締結となります。手付金の金額は売買価格の5~10%程度が相場で、現金での支払いが一般的です。ちなみに、万が一融資が下りなかった場合に備えて、融資が通らなかった際に売買契約を解除できる「融資特約」を付けておくことをおすすめします。

5. 管理会社を選ぶ

物件の管理業務を委託したい場合は、このタイミングで委託先の管理会社を選定しておきましょう。管理会社によって委託可能な業務や取り組み方、得意分野などが大きく異なるため、しっかりと情報収集を行って慎重に選ぶことが大切です。

管理会社を選ぶポイントについては以下の記事もご覧ください。
>>管理会社の選び方ポイント5選

6. ローンの本審査を受ける

売買契約の締結と同じ頃にローンの本審査を申し込みます。本審査の際は、事前審査時に提出した書類に加えて不動産売買契約書や実印、印鑑証明書などの提出も必要で、審査にかかる期間は2週間ほどです。

そして、本審査が通ったら金融機関と金銭消費貸借契約(ローン契約)を締結します。

7. 物件の引き渡しを受ける

ローンの実行や登記手続きは、物件の引き渡しと同日に行われるのが基本です。場所はローン契約を行った金融機関で行われるケースが一般的で、売主・買主・金融機関の担当者・不動産仲介会社・司法書士の立会いのもとで手続きが進められます。

決済が完了すると物件にかかわる各種書類や鍵などが渡され、物件の所有権が不動産オーナーに移ります。

不動産オーナーが抱える可能性のあるリスク

リスクの文字ブロック

不動産オーナーになることを検討している方は、以下のようなリスクについてもしっかりと把握しておきましょう。

空室リスク

所有している物件が常に埋まっているとは限らず、入居者のいない空室が発生するリスクがある点に注意が必要です。空室の間は収益が生まれないため、空室期間が長くなるとローンの返済などにも影響が出ることが懸念されます。

家賃滞納リスク

家賃滞納リスクとは、入居者が家賃の支払いをしないために、部屋は埋まっているのに収入がない状態になってしまうことです。なかには督促をしても支払ってもらえずに大きなトラブルへと発展するケースもあり、その場合は専門家に相談しながら慎重に対応する必要があります。

家賃滞納と家賃保証会社については以下の記事で解説しています。
>>家賃保証会社とは?家賃滞納への対応とオーナーのメリット

老朽化リスク

建物の老朽化は避けられず、築年が古くなるほど修繕箇所が増えていくリスクもあります。大掛かりな修繕を要する場合は多額のコストがかかることから、早めに大規模修繕に向けた計画を立てておくことが大切です。

不動産オーナーになるうえで大切なこと

不動産物件の鍵を受け渡す様子

ここまでご紹介した内容を踏まえ、不動産オーナーになるうえで大切なことを3点ご紹介します。

情報取集を入念に行う

最も重要なポイントといえるのが、物件購入時の入念な情報収集です。物件自体の情報はもちろん、周辺環境や近隣の類似物件、どのような人が多く住んでいるエリアなのかなどさまざまな視点で情報を集め、より効果的な賃貸経営ができるように準備を進めていきましょう。

不動産投資の知識を身につける

長期的に安定した賃貸経営を行うためには、不動産投資に関する知識が必要不可欠です。不動産オーナーになるために資格は不要ですが、ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士、マンション管理士といった資格の勉強をしておくと経営時に大きく役立つでしょう。

信頼できるパートナーを選ぶ

初めて不動産を所有する場合は賃貸経営についてわからないことが多く、判断や選択に迷ったり、自力での対応に不安を感じたりする可能性があります。そのため、信頼できる不動産管理会社に業務委託を行い、専門家に相談しながら二人三脚で賃貸経営を進めていけると安心です。

賃貸経営サポートの必要性については、以下の記事で解説しています。
>>賃貸経営サポートの必要性とその内容とは?管理会社の選び方も解説

不動産オーナーになる際は適切な準備とサポートを視野に

物件管理について提案している様子

不動産オーナーは少ない自己資金でも始められ、経営が軌道に乗れば長期的に安定した収入を得ることが可能です。ただし、賃貸経営には空室リスクや家賃滞納リスク、老朽化リスクなどが伴います。あらゆるリスクを想定しつつ自主管理によって適切な対策を講じることは難易度が高いため、専門的な知識を持ったパートナーを見つけるとよいでしょう。

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まとめ

不動産オーナーの業務には手間がかかるものも多いですが、管理会社に委託することでその手間を軽減でき、プロのアドバイスを得ながら効果的な賃貸経営を目指せます。投資用不動産は実物資産にもなるほか、節税対策としても有効であるため、資産運用としてぜひ始めてみてはいかがでしょうか。

ただし、不動産投資の成功には専門知識が必要不可欠であり、場合によっては想定する家賃収入を得られずローンの支払いに支障をきたすリスクもあります。無理に自力で管理しようとせず、信頼のおけるパートナーに相談したり、サポートを得たりすることが、賃貸経営の成功に向けた大きな一歩になるでしょう。

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