はじめに
これからマンション経営を始めるにあたり、「どのようなリスクがあるのか知っておきたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。マンション経営は長期的に安定した収益を得られる魅力的な投資手段として注目を集めていますが、その一方でいくつかのリスクを伴うため、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
そこで、今回はマンション経営における10の重要なリスクとその対策を解説します。また、マンション経営のメリットにも触れつつ、リスクを回避して上手に経営を進めるポイントについても詳しくまとめました。
ぜひ参考にしながら想定されるリスクについて正しく理解し、適切な対策を講じながらマンション経営の成功を目指しましょう。
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マンション経営における10のリスクと対策
マンション経営の成功率を高めるためには、下記のようなリスクに注意する必要があります。
- 高額な初期費用がかかるリスク
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 家賃下落リスク
- 入居者トラブルのリスク
- 建物の老朽化リスク
- 災害リスク
- 金利上昇リスク
- 売却できないリスク
- 管理会社の倒産リスク
ここからは、各リスクにおける概要と対策について詳しく見ていきましょう。
1. 高額な初期費用がかかるリスクと対策
マンション経営においてまず注意したいリスクが、建築や購入に莫大な費用がかかることです。目安としては、主に以下のような初期費用が発生します。
物件取得費用 |
たとえば区分マンションを取得する場合、購入価格の10〜30%が頭金として必要
(例)5,000万円の物件の場合:500万円〜1,500万円程度 |
ローン手数料 |
借入額の1〜3%
(例)5,000万円の物件の場合:45万円〜135万円程度 |
不動産取得税 |
固定資産税評価額の3%
(例)5,000万円の物件の場合:約120万円 |
登録免許税 |
固定資産税評価額の2%
(例)5,000万円の物件の場合:約100万円 |
仲介手数料 |
物件価格の3%+6万円が上限
(例)5,000万円の物件の場合:約171.6万円 |
火災保険 |
(例)保険期間5年で1戸あたり約8万円
|
また、物件取得後には管理費や修繕積立金、修繕費、固定資産税、所得税などのランニングコストがかかり、高額な初期費用と維持費が原因で経営が行き詰まる可能性はそう低くはありません。そうならないためには事前に綿密な予算計画を立て、予算に合わせた物件選びを行う必要があります。
また、複数の金融機関から見積もりを取って負担の少ないローンを選んだり、新築よりも初期費用を抑えられる中古物件を検討したりする方法も有効です。
2. 空室リスクと対策
マンション経営における空室リスクとは、物件に入居者がいないために家賃収入を得られないリスクのことです。空室リスクの要因は各物件によって異なりますが、周辺に新しい物件が増えて競争が激化したり、外観や設備などが古くなって魅力が低下したりすると空室が発生しやすくなるといわれています。
空室があるとその分の家賃収入を得られず、特に一室のみで経営している場合は空室時の影響が非常に大きいです。事前対策としては賃貸需要の高い立地の物件を選び、その後は適切なタイミングで外壁の塗り替えや設備の刷新を行って物件の魅力向上を図るなど、空室リスクの回避を見据えた物件選定・管理を心がけましょう。
もし競合物件と比較して家賃が高額な場合は、家賃設定の見直しを行うこともひとつの方法です。ただし、一度家賃を下げると、再度上げることが非常に難しくなるため、家賃設定は慎重に行う必要があります。
空室リスクと対策については以下の記事でも解説しています。
>>マンションの空室率が上がる原因と空室対策の方法とは
3. 家賃滞納リスクと対策
家賃滞納リスクも、マンション経営を行ううえで深刻な問題です。入居者が家賃を滞納するとオーナーの収入が減少し、物件の維持管理費用やローンの支払いなどに影響を及ぼすほか、場合によっては裁判や強制退去などの対応が必要になることもあります。
このように家賃滞納は経済的にも精神的にも負担が大きいですが、以下のような対策を講じることでリスクを最小限に抑えられます。
- 入居者審査を厳格に行う:入居者の信用情報や収入状況をしっかりと確認し、信頼できる入居者を選ぶ
- 家賃保証会社を利用する:保証会社が家賃を立て替えてくれるため、滞納による収入減少を回避できる
- 家賃支払い方法の見直し:家賃の支払い方法を口座振替やカード払いにすることで、支払い忘れを効果的に防げる
家賃保証会社を利用するメリットについては以下の記事でも解説しています。
>>家賃保証会社とは?家賃滞納への対応とオーナーのメリット
4. 家賃下落リスクと対策
マンション経営においては、建物の経年劣化や市場の競合激化などが原因で家賃を下げなければならないリスクも存在します。ただし、「家賃の下落=収益減少」であり、 前述の通り一度下げた家賃を再び上げることは困難であることから、簡単に家賃を下げることは得策ではありません。
まずは物件探しの段階において、駅近や商業施設が多いエリアなど家賃が下落しにくい立地を選ぶことが家賃下落リスクの軽減につながります。また、将来的な都市開発や人口動向に注目して賃貸需要を見込めるエリアを選んだり、単身者向けやファミリー向けなどニーズの高い間取りを選んだりすることも有効です。
さらに、実際の経営にあたっては定期的な清掃や修繕を行い、物件の魅力・価値の維持に努めるとよいでしょう。
5. 入居者トラブルのリスクと対策
入居者トラブルの発生も、マンション経営において事前に考慮すべきリスクです。たとえば騒音や異臭、水漏れ、ペット不可物件でのペット飼育などが原因で隣人同士のトラブルが発生する場合があります。オーナーや管理会社がトラブルを対処せず見過ごしていると、入居者の満足度が低下するほか、場合によっては退去者が発生する恐れもあります。
入居者同士のトラブルを防ぐためには、事前対策として入居者の審査を厳格に行うとよいでしょう。入居基準を明確にしたうえで入居者の背景や信用情報などをしっかりと確認し、慎重に審査することが重要です。
また、入居者トラブルが発生したら適切に対応できるよう、迅速に対応できる体制が整った管理会社を利用することも大変有効な対策です。
入居者との騒音トラブルについては以下の記事でも解説しています。
>>騒音トラブルに対してオーナー・管理会社がとるべき対応とその難しさ
6. 建物の老朽化リスクと対策
マンション経営では、建物の老朽化リスクにも注意が必要です。構造部分や配管、電気設備などの経年劣化によって建物の強度が低下したり、外観や内装が古くなったりすると資産価値の低下を招くリスクがあるほか、入居する魅力が減少して空室リスクが高まる可能性があります。
対策としては定期的な点検を徹底し、劣化箇所を早期に発見して修繕することが大切です。また、一定の期間ごとに大規模修繕工事を計画して建物全体の耐久性を向上させること、その際に必要な修繕費用をコツコツと積み立てておくことで、老朽化リスクへの対応をよりスムーズに行えるでしょう。
7. 災害リスクと対策
地震や火災などの災害により、物件が損傷するリスクがあることも考慮しなければなりません。災害によってマンションが損傷したり、倒壊したりした場合は不動産価値の減少や資産消失の恐れがあるほか、契約内容によっては入居者に対して補償が必要な場合もあります。
事前対策として、地震による津波や大雨による河川氾濫による水害リスクをハザードマップなどで確認したうえで物件の購入・建設を検討するとよいでしょう。また、耐震性や防火性の高い建物を選ぶことや、地震保険や火災保険に加入すること、被害軽減対策として定期的に建物の点検・修繕を行うことも有効な対策です。
8. 金利上昇リスクと対策
変動金利のローンを利用して物件を取得した場合、金利の上昇リスクがある点にも注意しましょう。借入金利が上昇することでローンの返済額が増加し、経営の収支が悪化する恐れがあります。
対策としては、事前に金利が上昇した場合のシミュレーションを行い、どの程度の金利上昇まで耐えられるかを確認しておくことが重要です。また、自己資金の割合を増やして借入金の比率を下げるなど、ゆとりある返済計画を立てることも金利上昇による影響の軽減につながります。
なお、変動金利ではなく固定金利のローンを選択すれば、金利上昇の影響を受けずに一定の返済額を維持することが可能です。ただし、固定金利は変動金利に比べて初期の金利が高く設定されるケースが多いため注意しましょう。
9. 売却できないリスクと対策
売却できないリスクとは、「経営しているマンションを手放したい」と思ってもすぐに売却できないリスクのことです。経営が良好なマンションであれば買い手がつきやすいですが、以下のような場合は購入希望者が現れないこともあります。
- 空室が多い
- 適切な維持管理がされていない
- 売却価格がローン残高を下回っている
- 売却価格が市場価格に比べて高すぎる
- サブリース契約がある
売却できないリスクへの事前対策としては、その地域の需要や供給、競合状況などのマーケットリサーチを徹底し、将来的な売却価格を予測したうえで物件を選ぶことをおすすめします。また、万が一の売却に備えて常日頃から徹底した空室対策と管理を行い、物件の魅力をしっかりと維持しておくことも大切です。
10. 管理会社の倒産リスクと対策
マンション経営では物件の管理を不動産管理会社へ業務委託するオーナーが多いですが、その管理会社が倒産するリスクについてもあらかじめ考慮しておく必要があります。管理会社が倒産すると清掃や修繕、入居者対応などの管理業務が滞り、家賃の集金が遅れたり、入居者や近隣住民からクレームが発生したりすることが想定されます。
倒産リスクを軽減するには、事前に管理会社の財務状況や過去の実績を確認し、経営が安定していて実績のある管理会社を選ぶ必要があります。また、契約後も管理会社の経営状況をこまめにチェックし、不安を感じた場合は早めに管理会社の変更を検討するとよいでしょう。
管理会社を変更する方法については以下の記事でも解説しています。
>>賃貸マンションの管理会社を変更する方法とトラブルを避ける注意点
マンション経営を行うメリット
これまでに記載したとおり、マンション経営にはさまざまなリスクがあるものの、きちんと対策を講じれば以下のようなメリットを期待できます。
- 安定した収入を得られる
- インフレや景気変動に強い
- 節税効果が期待できる
- 実物資産として残せる
具体的にどのような魅力があるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
安定した収入を得られる
マンション経営では、所有物件に入居者がいる限り毎月一定の家賃収入を得られます。特に立地が良い物件であれば空室リスクが低く、長期的に安定した収益を期待できるでしょう。副業のほか、老後の収入源を確保する手段としても人気です。
インフレや景気変動に強い
インフレや景気変動に強いことも、マンション経営におけるメリットのひとつです。
インフレが進行すると物価が上昇しますが、これに伴って家賃も上昇する傾向があります。そのため、賃貸契約の更新時に家賃を見直すことによってインフレ率に応じた適切な家賃を維持でき、収益の額をしっかりと保つことが可能です。
また、住居は生活に不可欠なものであることから、景気が悪化しても賃貸ニーズが大きく減少するリスクは少ないと考えられます。
節税効果が期待できる
マンション経営は事業所得として扱われるため、経営に関わる諸費用は経費として所得から控除できます。また、マンションは減価償却によって建物部分の取得費用を経費にでき、毎年の所得から差し引ける仕組みになっていることも大きな魅力です。
さらに、相続税対策としてもマンション経営は大変有効です。マンションを相続する際の相続税評価額は現金よりも低く、賃貸マンションの場合はさらに評価額が低くなるため、相続税の負担が軽減されます。
実物資産として残せる
マンションは株式や仮想通貨、債券とは異なり、実物資産として残せることも注目したいメリットです。管理が難しくなった場合は相続や贈与を行ったり、売却したりすることができ、無駄になることはありません。
マンション経営のリスクを回避するポイント
ここでは、マンション経営のリスクを回避するポイントをいくつか解説します。上記でご紹介したメリットをしっかりと得られるよう、ぜひ以下の点を意識してみてください。
不動産投資に関する知識を身につける
マンション経営を成功させるためには、まずは物件選びや資金調達、運営方法、税金など、不動産投資に関する知識を身につけることが大切です。不動産関連のセミナーに参加したり、書籍や実際に不動産を運営している人のブログをチェックしたりして情報を得るとよいでしょう。
十分な自己資金を用意する
十分な自己資金を用意することも、堅実なマンション経営を目指すうえで重要なポイントです。一般的には「物件購入価格の10~30%程度」の自己資金を用意する必要があるといわれており、自己資金が多ければ多いほどローンの審査に通りやすくなるほか、利子の負担も軽減できます。
また、自己資金が多いほど借入額が抑えられ、毎月の返済額も少なくなるためキャッシュフローが安定しやすくなる点も大きなメリットです。
賃貸ニーズの高いマンションを選ぶ
リスクを抑えた安定した経営には、賃貸需要の高いマンションを選ぶことも大切です。ニーズの高い物件の主な条件としては、以下のような要素が挙げられます。
- 駅近
- 競合が少ない
- 学校が近い
- 治安が良い
- 周辺にスーパーやコンビニ、病院、役所などの生活に必要な施設が充実している
また、大学の近くなら単身者向けタイプ、小中学校の近くならファミリー向けタイプなどとターゲット層に合わせた間取りを選ぶことや、「インターネット完備」「宅配ボックスあり」といった人気の設備が整っているかどうかに注目することも重要です。
出口戦略を考えておく
マンション経営におけるリスクを回避するためには、投資物件の購入前から出口戦略を立てておくことも必要です。出口戦略とは「投資物件を最終的にどのように処分するか」といった計画のことで、基本的には以下の3つの選択肢があります。
- 不動産会社を通じて売却する
- 入居者に売却する(特にファミリー向けの物件に需要が高い)
- 自宅として利用する
なお、物件の売却にあたっては市場の動向や物件の状態をこまめにチェックし、高値で売れるタイミングを見極めることが大切です。もし出口戦略の策定に悩む場合は、不動産管理会社などの専門家に相談してみるのもよいでしょう。
信頼できる不動産会社・不動産管理会社を選ぶ
マンション経営を成功させるためには、物件選びにおいては不動産会社、物件の管理業務においては不動産管理会社の存在が必要不可欠です。ぜひ以下のポイントを参考にしながら、信頼できるパートナーを見つけてみてください。
- 提供サービスの内容
- 緊急対応の体制
- 担当者の対応力や提案力
- 管理費用のコストパフォーマンス
- 担過去の実績と評判 など
管理会社の選び方については以下の記事でも解説しています。
>>管理会社の選び方ポイント5選
マンション経営のリスクを避けるには「管理会社との連携」が重要
前述のように、所有マンションを円滑に運営し、安定した収益を得るためには「信頼できる管理会社」を選ぶことが大切です。実績豊富で信頼性の高い管理会社に業務委託を行い、密な連携によって物件の管理を行うことで、マンション経営に伴うさまざまなリスクを回避できるでしょう。
LIXILリアルティの賃貸管理サービスは、LIXILのグループ会社として長年培ってきた賃貸経営ノウハウを活かし、物件の管理業務を総合的にサポートしております。サービスの具体的な特徴は以下のとおりです。
- リーシング力:大手仲介会社ネットワークや各種ポータルサイトを活用し、幅広く入居者を募集することで高い入居率をキープ
- 家賃滞納対策:提携信販会社(保証会社)による審査を徹底することで、家賃滞納者の発生を抑制
- リフォーム提案力:LIXILブランドの設備を活用した高品質なリフォーム提案により、物件の価値を維持・向上
- 24時間対応の緊急コールセンター: 24時間365日対応の緊急コールセンターを設置することで、トラブル発生時に迅速な対応が可能
実際に利用されているオーナー様からは、「各種対応が丁寧で入居者の満足度も高く、満室経営が続いている」「入居者審査を徹底してくれているおかげで、トラブルなくスムーズに経営できている」などと評判です。マンション経営の成功に向けてパートナーをお探しの方、マンション経営について詳しく相談されたい方など、ぜひLIXILリアルティの賃貸管理サービスへお気軽にお問い合わせください。
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まとめ
マンション経営には「安定した収入を得られる」「節税対策になる」といったメリットがある半面、空室や家賃滞納、家賃下落、金利上昇といったさまざまな要因によって経営難に陥るリスクがあります。まずは十分な自己資金を準備すること、そしてリスクを考慮しながら物件選びを行うことが、マンション経営の成功に向けた大きな一歩になるでしょう。
また、信頼できる不動産会社や不動産管理会社を見つけて、専門家に相談しながら物件の取得・経営を行うことも大切です。ご自身でリスクと向き合いつつプロのアドバイスも取り入れながら、リスクを抑えたマンション経営を実現しましょう。