はじめに
賃貸経営を行っているオーナーのなかには、「長期入居してもらえない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。長期的に安定した収益を得るためには退去者を出さないことが重要であるため、まずは早期退去の原因を知り、長く住んでもらうための対策を講じることが大切です。
そこで、今回は賃貸物件においてよくある退去理由をランキング形式で解説するとともに、入居者の不満を解消する方法を退去理由別にまとめました。さらには、入居者の早期退去を防ぐポイントについてもあわせてご紹介します。
所有物件の退去率の高さにお悩みの方や、早期退去の理由を探って空室対策に役立てたい方など、ぜひ参考にしてみてください。
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入居者の退去理由TOP5
初めに、GMO賃貸DX WEBメディア編集部が2021年に実施したWEBアンケート調査結果(回答者100名)をもとに「入居者の退去理由TOP5」をご紹介します。
出典:【アンケート調査】賃貸オーナー必見!入居者が退去する理由5選(実際の声も紹介します)
第1位:もっと条件の良い物件を見つけた
最も多かったのは「前より条件の良い物件を見つけたから」といった退去理由で、全体の18%を占めていました。具体的な理由を紐解くと、希望に合った家賃・間取りや最寄り駅までの近さ、地震に強い工法、インターネット無料などを「良い条件」としている人が多いことがうかがえます。
第2位:他の入居者・オーナー・管理会社への不満
次いで多かった退去理由は、全体の14%が回答した「他の入居者・オーナー・管理会社とのトラブル」です。物件そのものに満足していても、隣人による迷惑行為に悩まされて退去を決める入居者は決して少なくありません。
トラブルが深刻化すると、被害者側・加害者側の両方とも退去する可能性があるため注意が必要です。また、隣人トラブルや建物・設備の不具合などに対してオーナー・管理会社の対応が悪い場合も入居者の不満が募りやすく、「緊急時に連絡がつかない」「クレームを入れてもすぐに対応してもらえない」といった不信感が早期退去を後押しする可能性もあります。
入居者との騒音トラブルについては以下の記事でも解説しています。
>>騒音トラブルに対してオーナー・管理会社がとるべき対応とその難しさ
第3位:建物・設備への不満
入居者の退去理由第3位は「設備に不満があった」で、全体の10%が該当しました。具体的な理由としては「建物や導入されている設備が古い」「防音が不十分」などが挙がっており、生活に支障を感じて退去を決める方が多いようです。
また、マンションの共用部分において、エントランスや建物周辺の清掃が不十分だったり、駐輪場やゴミ置き場が乱雑だったりと、生活するうえでの不快感が退去理由になるケースも少なくありません。
第4位:騒音問題
騒音問題を退去理由に挙げた方も多く、全体の9%を占めていました。なかでも多いのが「夜間に騒がしい」「音楽やペットの鳴き声がうるさい」といった意見で、特に防音対策がしっかりとされていない物件の場合に騒音による早期退去が起こりやすい印象です。
第5位:部屋(収納)の広さへの不満
第5位は、全体の8%が回答した「部屋の広さに不満を感じた」といった退去理由です。そのうちの約70%は部屋そのものの広さよりも収納スペースに不満を感じており、「実際に住んでみたら収納スペースが足りず、もっと収納が多い物件に引っ越したい」「収納家具を増やすと部屋が狭くなってしまうため、もう少し広い部屋に住みたい」などの考えで退去を決めるケースが多くみられます。
【退去理由別】入居者の不満を解消する方法
入居者の退去理由が明確な場合は、その原因を取り除くことや付加価値を高めることが早期退去の防止につながります。ここでは、上記ランキングをもとにオーナー様が対応できる解消方法について詳しく解説します。
費用面に対する不満が原因の場合
費用面への不満が原因で退去が続いていると感じたら、オーナーとしてまず行いたいのが家賃相場の調査です。そのうえで、周辺よりも明らかに高額な家賃に設定している場合は、次の入居者募集に合わせて家賃の減額を検討するとよいでしょう。
また、更新料の支払いがネックになっているケースも多いため、更新料を減額したり、無くしたりすることも入居者の不満解消につながりやすい傾向があります。更新料も家賃と同様に大きな収入源であることから「減額や廃止はしたくない」と考える方も多いかもしれませんが、長期的な視点で見ると、入居者の退去を防いで安定した家賃収入を維持することのほうが得策といえるでしょう。
立地に対する不満が原因の場合
立地への不満には、「駅・バス停から離れている」「周辺にスーパーやコンビニなどの商業施設がない」などが該当します。立地条件自体は変えることはできないため、自転車やバイク、車の所有を前提として付加価値を高める対策を講じるとよいでしょう。
たとえば雨が当たらない屋根付きのバイク置き場を設置したり、戸数分の駐車場を用意したりする方法が有効です。そうした対応が難しい場合は、「小学校まで徒歩約5分」など別の角度から立地の良さをアピールするか、最新設備を導入するなど立地の悪さを補う付加価値をつけることをおすすめします。
建物・設備への不満が原因の場合
入居者が早期退去する理由が建物・設備の不備や故障の場合、適宜修繕や交換を行うことが不満の解消につながります。そのためには定期的に現地へ足を運んで建物・設備に不具合がないかどうか確認する必要があるほか、設備故障などで入居者から連絡が来た際にすぐに対応できる環境を整えておくとよいでしょう。
また、建物・設備の不満を補うために、部屋の付加価値を高めることも有効な手段です。たとえば近年のニーズに合わせて「ペット可」や「DIY可」としたり、モニター付きインターホンの設置などでセキュリティを強化したりすると成果につながりやすいでしょう。
他の入居者・オーナー・管理会社への不満が原因の場合
他の入居者への不満が早期退去の原因になっている場合は、契約時の条件を見直すことが大切です。あらかじめ洗濯機の使用時間やゴミ出しの時間などの入居ルールを定めて賃貸借契約書に盛り込んでおくとともに、契約時にしっかりと説明してルールを徹底してもらうよう呼びかけるとよいでしょう。
また、入居審査を厳しく行うことも隣人トラブルの防止につながります。そして、トラブルが発生した場合は掲示板やエレベーターなどに「ゴミ出しトラブル防止のお願い」といった貼り紙を掲示し、全入居者宛に告知することで円滑に事態を鎮静化できる可能性があります。
もしオーナー自身が物件の管理を行っていて管理が行き届いていない場合は、管理会社へ管理業務を委託する方法も有効です。なお、入居者が現在委託している管理会社の対応に不満を感じている場合は、管理会社を変更することで不満を解消できるかもしれません。
管理会社の役割やメリットについては以下の記事でも解説しています。
>>賃貸管理とは?不動産管理会社の役割と利用のメリット・デメリット
管理会社の変更については以下の記事でも解説しています。
>>賃貸マンションの管理会社を変更する方法とトラブルを避ける注意点
騒音問題が原因の場合
騒音問題が原因で早期退去者が増えていると感じる場合は、防音リフォームを検討するとよいでしょう。また、「〇時以降は楽器演奏禁止」「大人数で騒がない」などと騒音に関する細かなルールを制定し、入居者に周知することも効果的です。
部屋の狭さ・収納の少なさが原因の場合
部屋の狭さが入居者の不満につながっている場合は、内装をおしゃれにしたり、最新設備を導入したりと間取り以外の魅力でアピールする対策がおすすめです。また、収納の少なさが退去理由の主な要因になっている場合は、収納家具付き物件にしたり、収納が多い間取りにリノベーションしたりすると新たな入居者の不満を未然に防げます。
入居者の早期退去を防ぐには?
ここまでは退去理由別の不満解消法を解説しましたが、ここからは入居者の早期退去を防ぐためにオーナーが行うべき対策をご紹介します。空室が生じると次の入居者が入るまでに1〜3か月程度かかり、空室の期間中はその分の家賃収入がゼロになってしまうため、ぜひ以下の施策を講じて空室の発生を回避しましょう。
入居者とのコミュニケーションを積極的にとる
長く入居してもらうためには、オーナーは入居者と積極的にコミュニケーションをとって信頼関係を築くことが大切です。そうすることで不満が生じた際に相談してもらいやすくなるほか、住まいに安心感を抱いてもらえる可能性が高まり、長期入居につながります。
なお、入居者とコミュニケーションをとる際は、「レスポンスの速さ」と「誠実性」を意識すると信頼を得やすくなるでしょう。コミュニケーション手段としては電話が一般的ですが、LINEやメールなどで気軽にオーナーへ連絡できる環境を整備できるとよりスムーズにやり取りできます。
長期入居者への特典を用意する
長期入居に対して特典を付けることも、早期退去の回避につながります。入居者は特に問題なければ2年ごとに賃貸借契約の更新をするかどうか決断するため、契約更新する人のみに特典があることをあらかじめ伝えることで「更新すると良いことがある」と入居者に思ってもらうことがポイントです。
たとえば家具や家電、日用品をプレゼントしたり、家賃や更新料を減額したりする特典が喜ばれます。どのような特典にするか迷う場合は、いくつかの選択肢から選べるようにするとよいでしょう。
入居者へアンケートを実施する
早期退去を防ぐためには、既存入居者の満足度を高めることが必要不可欠です。ぜひ定期的に「入居者アンケート」を実施し、入居者が満足している点と不満に感じている点を把握してサービスの質の維持・向上に努めましょう。
なお、アンケートを実施する際に大切なポイントは以下の通りです。
毎年決まった時期に実施する
アンケートを実施するタイミングは、入居者ごとに決めておくとよいでしょう。更新時期の半年前を目安にすると退去予定を探れるほか、その理由によって退去防止への対策を講じることが可能です。
アンケートを行う目的を明確に提示する
単にアンケートを配布するのではなく、「より良い住環境を整備するため」「新規設備の導入を検討するため」などアンケートの目的を明確に提示することも重要です。そうすることで入居者がより真摯にアンケートと向き合ってくれる可能性があり、回収率も高まることが期待できます。
回答しやすいよう質問や回答方法を工夫する
アンケートの設問は「はい・いいえ」の二者択一や、「非常に満足・やや満足・どちらともいえない・やや不満・非常に不満」といった五段階評価のスタイルにすると、入居者が直感的に回答しやすくなります。ただし、チェック項目のみのアンケートでは細かな意見を聞き出すことが難しいため、自由に記入できるフリースペースも設けるとよいでしょう。
氏名や連絡先などは任意回答にする
氏名や連絡先といった個人情報の記入を義務付けてしまうと、入居者の本音が見えにくくなったり、回答率が下がったりする恐れがあります。しっかりと潜在ニーズを探れるよう、個人情報については任意回答とすることがポイントです。
感謝の言葉を添える
オーナーと入居者が話をしたり、顔を合わせたりする機会はそう多くはないため、アンケートの冒頭や末尾に日頃の感謝を伝える言葉を添えるとよいでしょう。入居者に良い印象を与えられ、回収率のアップにつながるかもしれません。
退去者へアンケートを実施する
退去者へアンケートを行い、具体的な退去理由を知ることも大変有効な空室対策です。アンケートの設問には退去理由だけでなく「不満に感じている点」と「満足している点」も含めることで、入居者のニーズや物件のアピールポイントがわかり、その後の参考になります。
手厚い体制の管理会社を利用する
入居者の早期退去を効果的に防ぐためには、手厚いサポートを受けられる管理会社を利用するとよいでしょう。ぜひ以下のポイントを参考に、管理体制がしっかりと整備された信頼できる管理会社を見つけてみてください。
- 提供サービスの内容
- 緊急対応の体制
- 担当者の対応力
- 管理費用のコストパフォーマンス
- 過去の実績と評判 など
管理会社の選び方については以下の記事でも解説しています。
>>管理会社の選び方ポイント5選
早期退去の対策は管理会社に任せるのも一手
なかには自力で物件の管理を行っているオーナー様もいらっしゃるかもしれませんが、退去理由についてオーナー自らが探り、各種対策を実行することは手間も時間もかかります。ぜひ信頼できる管理会社に業務委託を行い、プロの視点から早期退去への防止策を講じて安定した収益を目指してはいかがでしょうか。
LIXILリアルティの賃貸管理サービスでは、長年培ってきたLIXILグループのノウハウを駆使し、入居者募集や物件のメンテナンス、入居者とのコミュニケーションといった賃貸管理業務全般を専門的にサポートしております。また、早期退去による損失を最小限に抑えるための対策にも尽力しており、実際に利用しているオーナー様からは「丁寧に管理していただいているおかげで入居者からのクレームがほとんどなく、長期入居につながっている」「入居者からの満足度が高く、安心して任せられる」などと評判です。
入居者の早期退去にお困りのオーナー様をはじめ、効果的な空室対策で収益の最大化を目指したい方など、まずはぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
入居者が早期に退去する原因はさまざまですが、特に「前より条件の良い物件を見つけた」「他の入居者・オーナー・管理会社に不満がある」「建物・設備に不満がある」といった退去理由が多くみられます。もし退去が続く場合は入居者アンケートや退去者アンケートを実施し、退去の背後にある理由を探ったうえで適切な対策を講じましょう。
なお、管理体制がしっかりと整備された管理会社を利用することで、より確実に入居者のニーズに応えた快適な居住環境を提供でき、長期的な入居率の向上につながります。ぜひ信頼できる管理会社を強力なパートナーとし、二人三脚で賃貸経営の成功を目指してみてください。